EV重視の死角-環境車戦略に必要な視野

浜口 伸明・神戸大学経済経営研究所教授
開催:
09月29日(木) 14:00~15:00
会場:
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*収録動画の配信期間:2022年12月28日まで

■要旨
水素利用など多様な選択肢が必要―リスクも考慮して科学的な議論を

①脱炭素化を目指す動きの一環として、自動車の電動化が加速している。欧州は2035年に新車の全てをゼロエミッション車にするという政策を掲げた。米国や中国も電動車の普及を推進する目標を立てている。ただ、部品などの製造から車の走行、廃棄までのライフサイクルで温暖化ガス排出をみれば、電気自動車(EV)は、走行段階では温暖化ガスを排出しないが、製造段階での排出量など気になる点もある。

②EVに使う電池の電極材のサプライチェーンについての懸念材料も指摘されている。鉱物の産出国や精製する国が集中する傾向にあるため、地政学的なリスクなどがある。電動化が進んだ場合に内燃機関に関わる従業員の雇用をどのように確保するかという課題もある。

③地域によってエネルギー事情も異なるなか、水素・燃料電池や合成燃料、バイオ燃料など、自動車の脱炭素化への選択肢はEVのほかにも多様に出ている。エネルギー問題を広い視野で捉え、冷静で科学的な議論を進めていくべきだ。

■講師略歴
(はまぐち のぶあき)1995年ペンシルバニア大学大学院修了。Ph.D(地域科学)。アジア経済研究所を経て、2004年4月より神戸大学経済経営研究所助教授、2007年10月より現職。独立行政法人経済産業研究所にて地域経済プログラムディレクター及びファカルティフェローも務める。専門は、空間経済学、ラテンアメリカ地域経済論。共著書に「復興の空間経済学:人口減少時代の地域再生」(日本経済新聞出版社)など。