分断進む米国と中間選挙の行方

前嶋和弘・上智大学総合グローバル学部教授
聞き手)刀祢館久雄・日本経済研究センター研究主幹
開催:
09月30日(金) 14:00~15:00
会場:
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*収録動画の配信は終了しました

■講師略歴
(まえしま かずひろ) 1990年上智大学外国語学部卒、2007年メリーランド大学大学院政治学部博士課程修了(Ph.D.)、14年から現職。著書に『危機のアメリカ「選挙デモクラシー」』(共編著)など

■要旨
上院は接戦、下院は共和優勢で「分割政府」か―米政治、膠着状態に陥る恐れ

①ギャラップによると、2022年9月前半時点でのバイデン大統領の支持率は42%で、歴代大統領と同水準だ。近年、米国では党派別の支持率が極端に分かれる分極化の傾向が強くなっている。バイデン氏の場合も、民主党支持者の支持率は8割以上、共和党支持者の支持率は1割未満で推移している。

②バイデン政権は、4つの公約について今夏までに急ピッチで法令整備を行い、実施の道筋をつけるなど成果を挙げてきた。しかし、中間選挙では、投票率が低いために現政権への批判票が決め手になりやすいこと、分極化の影響で業績評価的な投票行動が機能しないことから、政権与党が議席減となるパターンが多い。今回も民主党の苦戦が予想され、上下両院で多数派を維持するのは困難だろう。ただ最近の世論調査では民主党が健闘しており、下院はまだしも、上院で共和党が多数派になるかは不透明だ。

③共和党が上下両院のいずれか、あるいは両方で多数派となって「分割政府」になる可能性は高く、2023年の米国政治は、議会の法案通過が困難になるなど膠着状態に陥りそうだ。24年の大統領選挙では、分極化の傾向や二大政党の支持者の割合が拮抗していることから、誰が候補になっても接戦が予想される。