脱炭素とエネルギー安保の両立に向けてーCOP27の注目点

有馬純・東京大学公共政策大学院特任教授
開催:
10月13日(木) 13:00~14:00
会場:
---

*収録動画の配信期間:2023年1月12日まで

■要旨
分断回避へ途上国の現実も考慮必要―供給不足下の化石燃料投資排除に反発

①2021年の第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)では、産業革命前からの地球の気温上昇を1.5度に抑えるという強い決意を表明する「グラスゴー気候協定」が採択された。しかしウクライナ戦争発生を機にエネルギー価格の高騰に拍車がかかるなど、世界はエネルギー危機のさなかにある。その中で欧米と中国・インドなど途上国との対立が激化してきた。

②化石燃料への依存度が高い途上国からみれば、欧州などが天然ガスの輸入を広げつつ、途上国の化石燃料投資に排除の姿勢を示すのは身勝手に映る。安価な燃料などを求めて中国に接近する可能性もある。温暖化防止には国際協調が不可欠で、世界のこのような分断は避けたい。

③化石燃料を輸入に頼るなど様々なハンデがある日本は、電力需給の逼迫に対して構造的な要因にも目を向ける必要がある。再生可能エネルギーのコストのほか今後は経済安全保障にも目配りが必要だ。原子力発電所の再稼働・新増設にも首相が覚悟を持って臨んでもらいたい。

■講師略歴
(ありま じゅん)1982年東京大学経済学部卒、同年通商産業省(現経済産業省)入省。経済協力開発機構(OECD)日本政府代表部参事官、国際エネルギー機関(IEA)国別審査課長、資源エネルギー庁参事官等を経て2008~11年、大臣官房審議官地球環境問題担当。11~15年、日本貿易振興機構(JETRO)ロンドン事務所長兼地球環境問題特別調査員。15年8月東京大学公共政策大学院教授、21年4月より現職。21世紀政策研究所研究主幹、経済産業研究所コンサルティングフェローなども務める、IPCC第6次評価報告書執筆者。これまでCOPに16回参加。近著に「トランプリスク-米国第一主義と地球温暖化-」(エネルギーフォーラム社)「亡国の環境原理主義」(同)など。