<日経センター中国研究> (第3回)

少子高齢化時代の社会保障体制-年金問題、医療制度

厳善平・同志社大学大学院グローバルスタディーズ研究科教授
聞き手)湯浅健司・日本経済研究センター首席研究員
開催:
10月25日(火) 14:00~15:00
会場:
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*収録動画の配信期間:1月24日まで

■講師略歴
(Yan Shanping、げん ぜんへい) 1984年南京農業大学農業経済学系卒、85年来日。91年京都大学大学院博士課程修了、農学博士号取得。92年桃山学院大学経済学部専任講師、助教授を経て、2000年同教授、11年から現職。2010年第26回大平正芳記念賞(特別賞)受賞。専門は農業経済学、開発経済学、中国経済論

■要旨
問われる社会保障の持続性―制度的差別と少子高齢化

①伝統的中国では家族が経済リスクの分散と軽減の役割を担ってきたが、経済成長に伴い家族形態が変化したことにより、医療、年金、介護などの社会保障が必要とされている。2021年末時点では概ね国民皆保険、国民皆年金を達成したが、職業や居住地域によって保障内容は異なる。特権的な階層が存在する一方で農村住民に対する保障内容は不十分であり、制度的な差別が問題だ。

②社会保障制度を維持するためには、今後の人口の規模、年齢構成といった人口動態を正しく捉えることが重要だ。中国は日本や香港、シンガポールなどの東アジアの国々と似た変化のプロセスを歩んでいるが、過去の少子化政策の影響により少子高齢化から人口減少に至る速度が速い。

③中国が直面する人口問題の根源は少子化だ。社会経済の発展に伴い、近年は少子化政策以外の要因が大きい。社会保障制度の拡大や女性の社会進出などにより、出産と子育てに対する負担感は増している。出産適齢期の女性が減少している影響も大きく、政策によって少子高齢化を転換することは難しい。少子高齢化と人口減少を前提として社会保障制度の設計が重要だ。