政府・日銀の政策対応、「出口」をどう出るか

中里透・上智大学経済学部准教授
聞き手)左三川郁子・日本経済研究センター主任研究員
開催:
11月10日(木) 14:00~15:00
会場:
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*収録動画の配信期間:2月9日まで

■講師略歴
(なかざと とおる) 1988年東京大学経済学部卒、日本開発銀行設備投資研究所、東京大学経済学部助手などを経て、2007年から現職。日本政策投資銀行設備投資研究所客員主任研究員を兼務。専門はマクロ経済学、財政運営

■要旨
金融緩和の大枠を維持しつつ微調整へ―「銀行税」(マイナス金利)と長期金利変動幅の見直しを

①黒田総裁下の約9年半で日銀の金融政策は大きく変容した。特に2016年以降、マイナス金利政策やイールドカーブ・コントロール政策の導入をはじめ、さまざまな措置が付加されて、日銀の金融政策は「建て増しを重ねた温泉旅館」のように複雑なものとなった。

②足元の「物価高」は、食品とエネルギー(および一部の家電製品)に限られたものであり、基調的な物価はあまり上昇していない。日本がいまだに19年10月の消費増税前の経済状態に回復できない「9割経済」であることが背景にある。基調的な物価が弱い状況を踏まえると、日銀は現行の金融政策の大枠を維持していくことが基本路線になる。

③現行の金融政策の大枠を維持しつつも、異次元緩和の「出口」に向けて金融政策を微調整していくことはできる。マイナス金利政策は金融緩和措置というより「銀行税」という性格を持つものであり、円安と「物価高」の進展を踏まえると、マイナス金利政策は見直しの必要がある。長期金利の許容変動幅については、プラスマイナス0.5%への拡大を提案する。現行のプラスマイナス0.25%の許容変動幅では、イールドカーブに歪みがもたらされるほか、日銀は0.25%の上限を守るために大量に長期国債を買い入れざるを得なくなるという懸念もある。