<日経センター中国研究> (第4回)
3期目に入った習近平政権―今後の政治運営をどう読むか
- 佐々木智弘・防衛大学校人文社会科学群国際関係学科教授
- 聞き手)湯浅健司・日本経済研究センター首席研究員
- 開催:
- 11月11日(金) 11:00~12:00
- 会場:
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*収録動画の配信は終了しました
■講師略歴
(ささき のりひろ) 1994年慶応義塾大学大学院法学研究科前期博士課程修了、日本貿易振興機構アジア経済研究所入所。北京大学政治学与行政管理系客員研究員、復旦大学国際関係与公共事務学院客員研究員、中国社会科学院政治学研究所客員研究員、2014年防衛大学校人文社会科学群国際関係学科准教授、21年から現職。2017年南山大学博士号取得(総合政策)
■要旨
盤石な政治基盤、当面は2期目の路線を継続―一枚岩の指導部で政策立案は円滑に
①先月第20回党大会が開かれ、3期目習近平政権が発足した。新たに決まった中央政治局常務委員7人のうち全員が、中央政治局委員24人のうち広義で18人が習近平人脈で占められ、習氏の政治基盤は盤石なものとなった。
②3期目の課題は共産党一党支配を維持することにある。このため党大会での習氏の報告では「中国式現代化」が提唱され、米国を中心とする西側諸国の中国包囲網に対する強い危機と対抗意識が示された。また低成長時代における中間層の支持離れへの危機感も強調された。
③3期目の基本的な運営方針は2期目の路線を維持する。指導部を自らの側近で固める人事により、政策立案が今まで以上にスムーズに進行する一方、執行と調整には課題がある。特に経済政策においては、第2期政権を支えた劉鶴氏から後任の何立峰氏への継承が焦点となるだろう。党大会を無事に終えたことにより、習氏の強硬な姿勢が緩み、来年3月以降には柔軟な政策転換の可能性もあると考えられる。