米中経済対立下の日本の地経学戦略

片田さおり・南カリフォルニア大学国際関係学部教授
聞き手)刀祢館久雄・日本経済研究センター研究主幹
開催:
11月30日(水) 16:00~17:00
会場:
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*収録動画の配信期間:2月28日まで

■講師略歴
(かただ さおり) 一橋大学社会学部卒業。ノースカロライナ大学チャペルヒル校博士号(政治学)。国連開発計画(UNDP)、世界銀行研究員を経て現職。近著に「日本の地経学戦略」(日本経済新聞出版)

■要旨
アジアの経済秩序構築へ転換―安全保障との両立課題に

①地経学戦略上の米中対立は、米国が世界市場の開放やルールに則った経済秩序の形成を目指す一方、中国は国家資本主義、経済相互依存の武器化を含む新重商主義を進めていることから生じている。ともにアジア地域への関与を強化しているが、米主導のIPEF(インド太平洋経済枠組み)には、米国の政策継続性への懸念もある。

②日本の対外経済政策はかつて新重商主義的で2国間のインフォーマルな交渉が目立ったが、21世紀に入り、アジアの経済秩序の構築に向けてルール作りに取組むようになり、20年代からはその成果を享受している。TPP(環太平洋経済連携協定)のような地域経済合意は、ルールに基づく国際秩序のフォーラムとなり、海外生産比率や海外投資が拡大している日本にとって重要だ。

③欧米からは日本に対して、地域におけるルール形成でのリーダーシップや、アジアと欧米をつなぐ役割が期待されている。日本とアジア諸国にとって、米中対立のもとで経済安全保障戦略と中国との経済相互依存関係をどう両立させるかが今後の課題になる。