北朝鮮リスクと東アジアの安全保障
- 田中均・日本総合研究所国際戦略研究所特別顧問(前理事長・元外務審議官)
- 姜龍範・天津外国語大学教授 国別・区域研究院院長
- コメンテーター)東郷和彦・静岡県立大学グローバル地域センター客員教授(元外務省欧亜局長)
- コメンテーター)宮本雄二・宮本アジア研究所代表(元駐中国大使)
- 司会)伊集院敦・日本経済研究センター首席研究員
- 開催:
- 12月13日(火) 14:00~15:30
- 会場:
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*収録動画の配信は終了しました。
■講師略歴
(たなか ひとし) 1969年京都大学法学部卒、外務省入省。在サンフランシスコ日本国総領事、経済局長、アジア大洋州局長、外務審議官、2010年日本総合研究所国際戦略研究所理事長、22年12月から現職
(Jiang Longfan) 中国吉林省生まれ。延辺大学卒業後、博士号(世界史)取得。同大学歴史学部長、人文社会科学学院長を経て2014年から現職。国家二級教授、天津市特聘教授
■コメンテーター略歴
(とうごう かずひこ) 1968年東京大学教養学科国際関係論卒、外務省入省。欧亜局長、在オランダ大使などを歴任し2002年退官。09年ライデン大学博士号(人文科学)。京都産業大学教授・世界問題研究所長などを経て、2020年から現職
(みやもと ゆうじ) 1969年外務省入省。軍縮課長、中国課長、駐アトランタ総領事、軍備管理・科学審議官、駐ミャンマー特命全権大使、沖縄担当大使を歴任後、駐中国特命全権大使を経て、2011年から現職
■要旨
北朝鮮の核依存戦略、長くは続かない―関係国結束すれば核廃棄へ交渉可能
①田中氏は北朝鮮の核開発問題の解決が難しい理由として、歴史の中で周辺国からの圧力を受け続けてきた北朝鮮の猜疑心が極めて強いことと、米国の歴代政権の対北朝鮮政策が一貫性を欠いていたことなどを挙げた。関係国が北朝鮮の核廃棄が共通利益であることを確認し再び6者協議に戻ることが必要で、米朝の間を取り持つ日本の役割は大きいと指摘した。
②北朝鮮は2019年に米朝会談が決裂した後、米国との関係修復を模索してきたが、結局今年9月、非核化問題についてはいかなる交渉にも応じないと宣言、ミサイル発射を繰り返している。姜氏は、このまま行くと、7回目の核実験を行う可能性もあると予測した。
③北朝鮮はロシアとの関係を強化により、ロシアへの労働者派遣やロケット弾の売り込みで外貨を稼げる。東郷氏は、両国はいずれもバイデン政権と敵対しており当面「敵の敵は味方」で関係強化へ動くとの見方を示した。
④宮本氏は、朝鮮半島問題解決に必要なのは核不拡散条約(NPT)体制のもと核兵器をこれ以上広げないとの決意を関係国が改めて共有することだと主張した。