- 開催:
- 12月20日(火) 14:00~15:00
- 会場:
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*収録動画の配信は終了しました。
■講師略歴
(たかみざわ のぶしげ) 1978年東京大学法学部卒、防衛庁入庁。運用企画局長、防衛政策局長、防衛研究所長、内閣官房副長官補(事態対処・危機管理担当)(国家安全保障局次長及び内閣サイバーセキュリティセンター長を兼務)などを歴任。退官後、2016年ジュネーブの軍縮会議日本政府代表部大使。2020年4月から現職
■要旨
世界の弱肉強食化が対応迫る―防衛力抜本強化、予算増額の継続を
①政府は2022年12月、新防衛3文書を閣議決定した。日本は米ソ冷戦の終結後、国際社会の相互依存関係の高まりとロシアの軍事力の減少もあって防衛力を縮小してきた。北朝鮮や中国が軍事力の増強を進める中で、14年からは拡大基調に転換したが、経費の確保がままならず、量・質とも十分とは言えない状況が続いた。だが中・ロが修正主義的な動きを強め、ウクライナ侵攻が始まるなど緊迫する国際情勢に対応して今回、反撃能力を含む防衛力の抜本的強化を打ち出した。
②最上位の「国家安全保障戦略」は2013年の策定以来、初めての改定。中・ロの脅威増大への強い危機感で米国や北大西洋条約機構(NATO)と現状認識をそろえ、戦後最も厳しい環境に対処するための外交・防衛戦略をアップデートした。経済力・技術力・情報力を含む総合的な国力の最大限の活用、官民協力の推進や財政基盤の強化が安全保障には不可欠など、従来にない新たな考え方が盛り込まれた。
③国家安保戦略の中で、欧米主要国並みのサイバー安全保障能力の向上、防衛装備移転三原則の制度見直し、国民保護のための体制強化など、「検討」が記載された事項には重要なものが多い。ただ、今回の安保政策の転換については、説明が足りないというプロセスへの批判が多く、予算確保のための増税論議についても意見が割れた。検討の具体化に向け、政府は透明性を持った形で議論を進める必要がある。