点検 2023年のグローバルリスク

大塚節雄・日本経済新聞社金融政策・市場エディター(グローバル経済・金融)
刀祢館久雄・日本経済研究センター研究主幹(米欧情勢)
湯浅健司・同首席研究員兼中国研究室長(中国経済)
伊集院敦・同首席研究員(中国政治、米中関係、朝鮮半島情勢)
開催:
01月17日(火) 14:00~15:30
会場:
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*収録動画の配信は終了しました。


■講師略歴
(おおつか せつお) 1994年早稲田大学政治経済学部卒、日本経済新聞社入社。2003~04年日本経済研究センター委託研究生(短期経済予測班)、15年ワシントン留学(ブルッキングス研究所客員研究員)、16~19年米州総局(ニューヨーク)、国際部副部長などを経て20年から現職

■要旨
世界経済の減速は避けられず―インフレ、東アジア動向などにリスク

①2023年の世界経済成長は減速する見通しだ。インフレ沈静化のために各国が実施してきた金融引き締めの影響が顕在化するためだ。インフレが長期化すれば深いスタグフレーションに陥る可能性があり、その場合は市場に大きなショックを与えるだろう。

②2022年の中国経済成長率は大きく減速した。23年は政府が消費支援や不動産業界へのテコ入れにより景気回復を目指すが、若年層を中心とした雇用問題や輸出の低迷には課題を残す。3期目に突入した習近平指導部の強権政治がどこまでエスカレートするかにも注目だ。

③台湾問題や北朝鮮の核ミサイル問題などを背景に、東アジアで軍拡競争が激化するリスクがある。今後2年間は北朝鮮建国75周年や台湾総統選など多数のイベントが控えており、各国・地域の問題が入り乱れて複合的なリスクに発展することもあり得る。

④米国や英独仏では首脳や首脳の所属政党の支持率が低迷し、政権基盤が不安定だ。米国では議会審議が停滞する恐れがある。ロシアとウクライナの戦争は長期化するという見方が多い。