アメリカの「次」を読む ―景気とインフレ、24年大統領選、アジア戦略の行方

今村卓・丸紅執行役員経済研究所長
聞き手)刀祢館久雄・日本経済研究センター研究主幹
開催:
01月20日(金) 14:00~15:00
会場:
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*収録動画の配信は終了しました。

■講師略歴
(いまむら たかし) 1989年一橋大学商学部卒、丸紅入社。91年日本経済研究センター出向。93年世界銀行国際経済局出向、丸紅経済研究所チーフエコノミスト、ワシントン事務所長などを経て、2019年4月から現職

■要旨
2023年は政治が停滞、経済はやや後退―分断と相互依存が進む米中関係の今後を占う重要な年に

①昨年の中間選挙の結果、下院で共和党がかろうじて多数派を確保するにとどまったことを受け、共和党内における保守強硬派の影響力が拡大した。このため、超党派での意見集約が困難となり、2023年の議会審議は停滞する恐れが強まっている。特に連邦政府債務の法定上限の引き上げの期限とされる6月初旬まで与野党間の政治的抗争が続く可能性がある。

②米中の経済関係は、米国側が先端技術などの輸出管理を厳格化するなどデカップリング(分断)が加速する一方、対中輸出入額が共に足元で増加するなど相互依存も進むという複雑な関係にある。バイデン政権は、中国への対抗姿勢を明確化し、国内回帰、友好国との連携強化、抑止力の向上を図りつつも、一部の分野では中国との協力を模索している。今後の米中関係は、成長著しいインド太平洋地域において米国の戦略がどう打ち出されるかがカギとなるだろう。

③2023年の米国経済は、人手不足に起因する賃金の上昇が続いており、インフレがまだ当面は継続すると見られる。今後FRBによる急激な利上げの影響が波及すると考えられることから、軽微な景気後退は避けられないとの見通しである。