Rapidusとデジタルで、列島改造を ―最後で最大の機会を活かせ

若林秀樹・東京理科大学大学院 教授 経営学研究科技術経営専攻 専攻長
聞き手)上原正詩・日本経済研究センター主任研究員
開催:
01月24日(火) 15:00~16:00
会場:
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*収録動画の配信はございません

■講師略歴
(わかばやし ひでき) 1986年東京大学大学院工学研究科修了、野村総合研究所入社。JPモルガン証券、みずほ証券で、半導体電機アナリスト、日経アナリストランキングで1位5回、マネジーングディレクター、ヘッドオブリサーチ、日本株ヘッジファンドを経て、2017年から現職。経済産業省の半導体・デジタル産業戦略検討会議メンバー、JEITA半導体部会政策提言タスクフォース座長。著書に、「デジタル列島進化論」「経営重心」「ヘッジファンドの真実」「日本の電機産業はこうやって蘇る」。6月に、田中角栄の日本列島改造論、以来の、デジタル列島改造論ともいうべき「デジタル列島進化論」を刊行、3章、4章で、経産省の半導体デジタル産業戦略検討会議の紹介もしている。

■要旨
「デジタル日本」は半導体産業復活がカギ―ラピダスで最先端加工と短納期化実現を

①日米摩擦後の世界的な産業構造転換対応の失敗などにより、日本は中国などに世界の生産拠点の座を奪われたが、米中摩擦の激化や円安の進行で再び生産拠点として期待が高まっている。田中角栄元首相の「日本列島改造論」から50年が経ち、今次局面では情報通信網に根ざしたデジタル化による改造と進展による「デジタル日本列島進化論」が必要となっている。その要となるのが半導体産業の育成だ。

②半導体産業の復活には、微細加工を追求する「モア・ムーア」だけでなく、チップレット手法など「モア・ザン・ムーア」に対応することが重要だ。新会社Rapidus(ラピダス)と技術研究組合最先端半導体技術センター(LSTC)を中心に、日本国内でのサプライチェーン完結、最先端加工技術の確立、設計・製造期間の短縮(短TAT化)を目指すべきだ。

③人材面や資金面など課題は多いが、他国へ流出したシニア人材の国内回帰、優秀な人材の米国派遣、5G基金やベンチャーキャピタルなど政府や株式市場との連携、さらには研究開発機関の再編成の実施など産官学一体となって課題を解決し進んでいくべきだ。日本の半導体産業の成功を知る貴重な人材がいなくなってしまう前の最後の機会を逃してはならない。台湾有事リスク等もあり、米からの期待に時間遅れにならないようにしたい。