2023年の世界と日本 ―ダボス会議を終えて

竹中平蔵・日本経済研究センター研究顧問
開催:
02月01日(水) 14:00~15:30
会場:
---

*収録動画の配信および、資料の掲載はございません

■要旨
ポピュリスト政策が世界経済のリスクに―日本は政治主導で改革を

①世界経済フォーラム(WEF)の理事会である「ダボス会議」の常連たちからは、混とんとした時代に対応する政治判断の危うさへの指摘が目立つ。ソーシャル・メディアが世論を煽るなか、民主主義の国では歪んだ世論に迎合するポピュリスト政策に陥りがちだ。独裁国家も政策判断を誤ると危険な結果につながりかねない。世界経済の現在と今後を見極めるうえで、各地にはびこる「ポリシー・ミステイクス(政策の失敗)」が重要な要素となる。

②1月のダボス会議では、対面で3000人近くの参加者が集まったことが成果だった。存在感はインドが圧倒的に強く、中国とも欧米とも一線を画す「グローバルサウス」という言葉が会合中に飛び交っていた。数か月前と比べると世界経済についての悲観論がやや薄れていたが、リスクは残るため引き続き警戒が必要だ。

③岸田政権では各官庁が粛々と成長戦略に取り組んでいるが、根本から何かを変えるような施策は見あたらない。一定の所得を国民に保障する「ベーシックインカム」や社会保障の抜本改革など、大きなしくみ作りのために政治主導で取り組むべきだ。