- 開催:
- 02月07日(火) 14:00~15:00
- 会場:
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*収録動画の配信期間:5月7日まで
■講師略歴
(とう せい) 2002年筑波大学社会科学研究科経済学専攻一貫制博士課程修了。桃山学院大学経済学部教授などを経て、14年から現職。博士(経済学)筑波大学。近著に『家計・企業の金融行動から見た中国経済 ― 「高貯蓄率」と「過剰債務」のメカニズムの解明』
■要旨
膨張する中国の家計債務、経済成長に影響も―経済・債務構造の変革が急務
①中国の家計債務が膨張している。リーマンショック以降、中国の家計債務は右肩上がりに増加しており、債務比率も高止まりしている。その背景にあるのが、上昇し続けた住宅価格に起因する住宅ローンの増加だ。中国の住宅ローンは個人向け与信残高の70%を超えるまでに膨らんでおり、地理的にも東部地域から中西部地域へと全国的に拡大を続けている。
②一般的に家計債務の増加は、中長期に一国のマクロ経済・金融システムに負の影響を与え、さらには社会問題に発展する危険性も孕んでいる。過剰な家計債務は、消費支出や経済成長を抑制することが複数の実証分析で示唆されており、ミクロの視点で見ると離婚や破産などにもつながり得る。中国の家計債務も今後の経済・社会に大きな影響を及ぼすことが予想される。
③このように、中国の家計債務の問題は、今後の中国経済にとって大きなリスク要因として取り組むべき重要な政策課題となっている。高騰してきた住宅価格を緩やかに低下させるとともに、住宅市場に頼らない経済構造への改革が必要だ。また、信用力が低い層の家計債務の拡大防止に加え、金融リテラシーの普及活動により家計の健全な借入行動を促すことも重要だろう。