- 開催:
- 02月08日(水) 14:00~15:00
- 会場:
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*収録動画の配信は終了しました
■要旨
「解決」か「妥協」か、判断は難しく―犠牲回避での停戦、再び侵攻の懸念も
①戦争終結には2つの形がある。「紛争原因の根本的解決」と「妥協的和平だ」。「将来の危険」の除去の方が「現在の犠牲」の回避より重要な場合は「紛争原因の根本的解決」に傾く。逆に現在の犠牲を避けたいという考えを優先させる場合は「妥協的和平」へと進む。いずれにもデメリットはあり、難しい判断になる。
②ウクライナ戦争でロシアは当初、ウクライナを属国化する形の「根本的解決の極」を考えたが失敗したようだ。ロシアが撤退する形の「妥協的和平の極」も考えられるが、これも現実には落としどころが見えない。「妥協的和平」だが極まで行かないという形もありうるが、東部・南部のロシア支配などをウクライナは認め難く、ウクライナの抵抗と西側の支援継続が今後の状況を左右しそうだ。
③日本も「出口戦略を考えずに済んだ時代」は終わったといえる。「台湾有事」を想定する場合も、不幸にして犠牲が生じる事態になった場合に、どこまで耐えられるのかについての認識を米国との間で共有しておくことが重要になる。
■講師略歴
(ちぢわ やすあき) 2007年大阪大学大学院国際公共政策研究科博士課程修了。博士(国際公共政策)。防衛省防衛研究所教官、内閣官房副長官補(安全保障・危機管理担当)付主査などを経て、2013年より現職。国際安全保障学会理事なども務める。専門は戦争終結論、防衛政策史。近著に『戦争はいかに終結したか』、『戦後日本の安全保障』(中公新書)など。福岡県出身。