- 開催:
- 02月24日(金) 14:00~15:00
- 会場:
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*収録動画の配信は終了しました。
■要旨
「新しい春闘」構築し、妥当な賃金水準に―産業別会議体や第三者委員会の設置を
①日本の企業の賃金は長く伸び悩みが続いてきた。「労働生産性の低迷が賃金伸び悩みの原因」といわれるが、主要先進国の状況などと比べると、それが原因とは説明できない。むしろ「物価も賃金も上がらない」というノルム(標準的相場観)がバブル崩壊以降に形成されたことが、最も大きな要因と考えられる。
②東西冷戦終結を受け、世界的に90年代以降デフレ圧力が強まっていたが、米中対立などに伴う経済安全保障重視や脱炭素を背景としたエネルギー情勢などから、高コストの時代へと国際情勢も変わってきた。日本企業もコスト削減重視による縮小均衡ではなく、付加価値を志向して、賃上げを持続的に進める必要がある。
③持続的な賃上げを実現するためには、雇用の流動化も1つの方法だが、外部労働市場が未整備な日本では限界もある。労使交渉によって妥当な賃上げを中長期で達成していくため、新しい春闘の形として、具体的には①中央の政労使会議②産業別・地域別の会議体③第三者委員会――の3点セットを提案したい。
■講師略歴
(やまだ ひさし) 2023年4月から法政大学経営大学院イノベーション・マネジメント研究科教授(日本総合研究所客員研究員)。1987年京都大学経済学部卒、2015年同大学院で博士号取得。1987年住友銀行(現三井住友銀行)入行、日本経済研究センター出向などを経て、2011年日本総合研究所調査部長兼チーフエコノミスト、17年理事、19年から現職。労働政策審議会労働政策基本部会委員なども務める。主な著書に『賃上げ立国論』(日本経済新聞出版)、『同一労働同一賃金の衝撃 「働き方改革」のカギを握る新ルール』(同)など。