- 開催:
- 03月10日(金) 14:00~15:00
- 会場:
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*収録動画の配信期間:2023年6月9日まで
■要旨
国際ルールづくり、民間の動きも―経済的に温暖化ガス削減へ、改良続く
①日本政府が主導する排出量取引制度「GX-ETS」は民間企業が自発的に参加する形で2023年4月からスタートする。試行段階、本格稼働、さらなる発展へ、と3段階で進むイメージとなっており、国際情勢などをみながら中身も改善されていくだろう。
②排出量取引制度は世界的に、05年の京都議定書発効とEUの制度開始を機に第1次の隆盛期を迎えたが、09年の金融危機などを受けて低迷期に入った。再び盛り上がってきたのは15年のパリ協定締結以降で今は第2次隆盛期といえる。温暖化ガス削減に関する国際的な枠組みなどで需要が確実であることが重要なほか、市場の需給が程よくバランスするための工夫も金融市場同様に欠かせない。
③排出量取引は世界全体で経済合理性を持って温暖化ガスを削減していく手段であり、企業の温暖化ガス削減の選択肢を増やすものといえる。ただ、制度リスクは付きまとい、国際的な民間団体もルールづくりや改良への議論を続けている。温暖化ガスの排出コストは最終的には製品などの価格に反映されるため、消費者も制度設計に関心を持ってもらいたい。
■講師略歴
(ほんごう たかし)1981年早稲田大学政治経済学部卒業、日本輸出入銀行(現国際協力銀行)入行。フランクフルト首席駐在員、特命審議役・環境ビジネス支援室長などを経て、2011年10月より現職。日経・JBIC 排出量取引参考気配(2008~12年)創設に参画。国際排出量取引協会理事(2012年~)、文部科学省科学技術・学術審議会専門委員(2017年~)。日経産業新聞のコラム「Earth新潮流」執筆メンバー。