ポストコロナの税制・財政を考える

佐藤主光・一橋大学大学院経済学研究科教授
開催:
04月13日(木) 11:00~12:00
会場:
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*収録動画の配信は終了しました。

■講師略歴
(さとう もとひろ) 1992年一橋大学経済学部卒、98年クイーンズ大学Ph.D(経済学)。2009年から現職、国際・公共政策研究部教授兼務。16年から同大学社会科学高等研究院医療政策・経済研究センター所長を兼務。2019年日本経済学会石川賞受賞

■要旨
財政政策目標を供給重視型に―スタートアップ促す策も必要

①低金利・物価下落というこれまでの日本経済の構造に変化が生じ始めている。こうした中での財政運営に必要なのは、第1に、財政政策の目標をこれまでの需要喚起型から、生産性向上やイノベーション創出といった供給サイド重視型に移すことである。目先の景気回復ではなく、デジタル化やグリーン化などで持続的成長を目指す政策だ。

②2番目に必要なのは、勤労者向けのセーフティーネットの整備である。日本には生活保護など生活困窮者向けのセーフティーネットはあるが、勤労者向けのそうした仕組みがない。リアルタイムで所得を捕捉し、給付付き税額控除など、所得が低くても働き続けている勤労者を支援する制度を整備すべきだろう。

③そして、3番目に必要なのは、企業の新陳代謝を図りスタートアップを促すことだ。供給サイドの生産性向上を促すイノベーションの担い手は新興企業である。2023年度の税制改正大綱で示されたスタートアップ育成のための税制を生かす必要がある。