- 開催:
- 05月18日(木) 11:00~12:00
- 会場:
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*収録動画の配信は終了しました。
■講師略歴
(なかぞら まな) 1991年慶応義塾大学経済学部卒、野村総合研究所入所。野村アセットマネジメント、JPモルガン証券を経て、2008年BNPパリバ証券クレジット調査部長。20年から現職
■要旨
欧米の金融不安は年後半も続く―預金の変化が流動性リスクを読むヒント
①欧米の景気は足元では思ったより良いが、年後半にかけて腰折れする可能性がある。金利の水準が高まっている中で景気が悪くなると、ファンダメンタルズ(基礎的条件)が悪化し、資金の流動性も低下してスプレッド(上乗せ金利)はワイド化(拡大)する。スプレッドが拡大しすぎると当局が介入する可能性もある。現段階で欧米の金融システム不安が解消されたとは言えない。
②破綻したファースト・リパブリック・バンクの前CEOは「経営はまずくなかったが、預金の流出を止められなかった」と述べた。これが正しいとすると、どの銀行が破綻してもおかしくない。自己資本が厚くても流動性リスクは見抜けない。銀行決算の預金の動きやベージュブック(米地区連銀経済報告)などを継続的にチェックして、リスクの所在を見付けることが大事である。
③クレディ・スイス・グループの永久劣後債(AT1債)で株式との弁済順位が逆転したことは、法的に問題がなかったとしてもやはり問題。ただ、他の主要国で逆転は起こらないだろう。なお中国の状況は改善傾向にあるが、不動産を中心におカネの流れが詰まり始める可能性があることに注意は必要だ。