【東京会場】
第60回通常総会講演
国際情勢の展望と日本の役割

中西寛・京都大学大学院法学研究科教授
聞き手)藤井彰夫・日本経済新聞社専務執行役員、論説委員長
開催:
06月19日(月) 14:30~16:00
会場:
日本経済新聞社東京本社ビル 6階カンファレンスルーム

*収録動画の配信は終了しました。

■講師略歴
(なかにし ひろし) 京都大学法学部卒、京都大学大学院、シカゴ大学歴史学部大学院、京都大学法学部助教授を経て、2002年から現職。法学修士。専門は国際政治学、特に20世紀国際政治史、安全保障論、日本外交論を中心に研究。著書に『国際政治とは何か-地球社会における人間と秩序』(共編著)、『高坂正堯と戦後日本』(共著)、『転形期の世界』など

■要旨
欧米の金融不安は年後半も続く―預金の変化が流動性リスクを読むヒント

①東西冷戦終結後に築かれた国際秩序は、大きく変貌しつつある。英国のEU(欧州連合)からの離脱や米国におけるトランプ政権誕生をきっかけに、米国主導型の「リベラル国際秩序」が後退し、2020年以降はその流れが加速。一方で、中国の習近平政権、ロシアのプーチン政権の体制が強化され、世界の分断化が進んでいる。こうした中で、民主主義対専制主義という対立関係を好まない、「グローバルサウス」と呼ばれる国々の存在感が増している。

②日本の安保外交政策も大きく変化している。安全保障体制の自立と総合的な国力の強化が必要になっており、これを踏まえて岸田政権は安全保障3文書を改定。国家安全保障戦略を最上位の文書と位置付け、反撃能力の保持、継戦能力の強化を含む防衛予算の大幅な増額を打ち出している。G7広島サミットを成功に導くなど、外交面での成果も挙げている。

③ただ、経済・情報・技術といった分野ではまだ課題が多い。21世紀は情報文明化が進む時代、そして、インド太平洋地域が台頭する時代である。日本はこれらの地域を含めた多様なネットワークを、どうやって構築していくかが問われる。