- 開催:
- 07月06日(木) 14:00~15:00
- 会場:
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*収録動画の配信は終了しました。
■要旨
航続可能距離が新たな競争軸に─「プラグイン」+合成燃料に注目
①世界の自動車産業の経営者にアンケートしたところ、充電してモーターだけで走る電気自動車(BEV)のシェアの予測値が下がった。一方、モーターとエンジンを併用するハイブリッド車(HEV)への投資意欲はBEVに近い程度に高い。欧州委員会は今年3月、合成燃料(e-Fuel)など炭素中立的な燃料のみを用いて走る車両は2035年以降も販売できると決めた。
②合成燃料は再生可能エネルギーで発電した電力により製造した水素と濃縮回収した二酸化炭素(CO₂)からつくる。温暖化ガスを大幅に削減するには新車だけでなく、保有台数全体を考える必要があり、合成燃料はガソリンやディーゼル燃料にブレンドができるのもメリットだ。一方で水素のコストが高いのは大きな課題。主要国で進む水素の普及戦略に期待したい。
③電気自動車の登場により、航続可能距離が自動車の新たな競争軸になってくる。距離を伸ばすにはバッテリーの容量を増やす必要があり価格も上がる。外部から充電もできるプラグインハイブリッド車(PHEV)は長距離走行時には内燃機関を使えるし、そこで合成燃料を使えば低炭素走行に寄与する。PHEVとe-Fuelの組み合わせに注目していきたい。
■講師略歴
(とどろき ひかり)⽇系⾃動⾞会社、⽇系総合コンサルティングファーム、監査法⼈系コンサルティングファームを経て2022年にKPMG⼊社。⾃動⾞関連産業を中⼼に、商品戦略、技術戦略、新市場参⼊戦略などの戦略に関するプロジェクトに従事。公益社団法⼈⾃動⾞技術会エネルギー部門委員会委員。著書に「EV・⾃動運転を超えて“⽇本流”で勝つ―2030年の新たな競争軸とは」(共著,⽇経BP)