<日経センター中国研究> (第1回)

米国のデカップリング政策と中国の半導体産業の今後

山田周平・桜美林大学大学院特任教授
聞き手)湯浅健司・日本経済研究センター首席研究員
開催:
07月20日(木) 14:00~15:00
会場:
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*収録動画の配信は終了しました。

■講師略歴
(やまだ しゅうへい) 1991年早稲田大学政治経済学部卒、日本経済新聞社入社。2004-08年台北支局長、11-13年アジア部次長兼中文サイトコンテンツアドバイザー、13-15年中国総局記者、15-17年中国総局長、19-23年日本経済研究センター研究員兼任などを経て、23年4月から現職

■要旨
中国製半導体の先端化はめど立たず―難易度低いパワー半導体など増産へ

①中国は米中ハイテク摩擦前から半導体産業の育成に取り組んできた。付加価値が低い組み立て工程中心の構造から脱却するため、2000年に打ち出した政策が出発点だ。習近平氏も国家主席に就任後、半導体分野での競争力の向上を掲げて産業育成を積極的に支援した。基本的な方針は現在も変わらない。

②米国の制裁で中国の先端半導体の開発は打撃を受けた。性能を高めるために欠かせない製造装置が輸入できなくなったことは致命的だ。今後、中国では回路技術の難易度が低いパワー半導体などの増産化が進むだろう。

③日本に関しては、米中対立の中では半導体製造装置の扱いが焦点になる。日本は経済安全保障上のリスクを回避する「デリスキング」の措置を取ったうえで、主要顧客である中国への輸出を続けるのが現実的だ。中国や台湾に限らず、世界経済が成長するかぎり半導体はどこかで作ることになる。重要なのはその需要を見失わないことだ。