- 開催:
- 07月21日(金) 14:00~15:00
- 会場:
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*収録動画の配信は終了しました。
■講師略歴
(せきやま たかし) 大蔵省および外務省で勤務後、東京大、北京大、ハーバード大の各大学院で学び、
研究者に転身。2019年から現職。専門は国際政治経済学、環境政治学、開発政治学
■要旨
気候変動が招く安全保障リスク―脱炭素政策も対立の火種に
①気候の変化は、古来より人類の歴史に影響を及ぼしてきたと言われている。気候変動による自然災害は、紛争・暴動等、社会不安の遠因となる。気候変動が紛争・暴動等につながるリスクは、経済発展レベルや政府のガバナンス能力等が弱い途上国の方が高い。そのため、サプライチェーン(供給網)の先進国回帰が起こる可能性がある。
②各国が進める脱炭素政策も、国家間の対立の新たな火種となりうる。エネルギー需要の変化や、新技術をめぐる国家間競争は、地政学的な力関係のみならず、各国の国際関係にも影響を及ぼす恐れがある。また、各国の脱炭素政策への温度差が、自由貿易の緊張を生じさせかねない。
③インド太平洋地域では海水温度の上昇により豪雨・洪水の頻発、北極海航路の開発による地政学リスクの変化が生じることが指摘されている。海水面の上昇は日本にも直接的な影響がある。日本の離島が水没すると、その周辺の排他的経済水域(EEZ)を巡り、隣国との対立を招きかねない。