- 開催:
- 07月26日(水) 10:00~11:30
- 会場:
- 日本経済新聞社東京本社ビル 6階セミナールーム2
*収録動画の配信は終了しました。
■要旨
インフレ目標の修正が第一歩―金融支配と財政支配にリスク
①先進国での保護主義の台頭で財の貿易は停滞しているが、サービス貿易は堅調であり、グローバリゼーションは依然健在である。背景にデジタル貿易の拡大がある。金融のデジタル化は便益も大きい一方、多くの問題も存在する。一つに仮想通貨バブルが挙げられる。そのバブルが崩壊して米銀が破綻し、金融不安につながった。
②金融市場が不安定化すると金融政策が貫徹できないことを、ファイナンシャルドミナンス(金融支配)という。財政部門の不安定化に対して金利を据え置くことはフィスカルドミナンス(財政支配)である。物価安定をめざす金融政策がファイナンシャルドミナンスとフィスカルドミナンスの間に挟まれ、身動きが取れなくなることが直面する問題点である。
③日本の金融政策の正常化を考える際、日本銀行はファイナンシャルドミナンスとフィスカルドミナンスをしっかりと見極める必要がある。その一方で、日本の自然利子率がマイナスである点に留意すべきだ。自然利子率がプラスの米国で適正なインフレ率が2%なら、自然利子率がマイナスの日本のインフレ目標は1~2%(生鮮食品・エネルギー除く)に改めるべきである。