<日経センター中国研究> (第2回)

中国の不動産業は再生できるかー経済回復のカギに

中岡深雪・北九州市立大学基盤教育センター教授
聞き手)湯浅健司・日本経済研究センター首席研究員
開催:
08月22日(火) 14:00~15:00
会場:
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*収録動画の配信は終了しました。

■講師略歴
(なかおか みゆき) 2000年大阪市立大学大学院経済学研究科前期博士課程修了、中国復旦大学経済学院高級進修生、U.C.Berkeley Center for Chinese Studies Visiting Scholar、07年大阪市立大学大学院経済学研究科後期博士課程修了、09年北九州市立大学基盤教育センター准教授、2023年から現職。博士(経済学)(大阪市立大学)。専門は中国経済論、アジア経済論

■要旨
住宅供給過剰からの脱却図れ─求められる構造的問題への対応

①碧桂園や恒大集団など中国の大手不動産企業の経営難が続いている。コロナ禍がもたらした経済の減速や政府の不動産市場の過熱抑制策により、業界全体が販売不振に苦しんでいる。ただ、政府は、現在の不動産市場は調整段階にあるとし、調整作用が発揮されることで不動産政策は最適化されるだろうという楽観的な見解を述べている。

②中国が抱える構造的問題の一つに、不動産業をマクロ経済の調整手段として利用してきたことが挙げられる。これまで過剰な住宅投資によって支えられていた不動産市場は、政府が行ってきた過熱抑制策の効果もあってか、住宅投資額などは落ち込み、中国経済に影を落としはじめている。

③中国の不動産業の不況がもたらす経済的影響は、中国国内での景気後退を経た後に世界経済へ波及すると考えられる。今後不動産市場の再生を図っていく上では、これまで行ってきた景気刺激策としての乱開発のような供給過剰から脱却していく必要があるだろう。