- 開催:
- 09月05日(火) 14:00~15:30
- 会場:
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*収録動画の配信および、資料の掲載はございません
■要旨
対照的な米中経済の先行き
―日本は政府内のガバナンス強化を
①8月下旬に開かれた世界経済フォーラム(WEF)のダボス会議理事会と国際ビジネス評議会(IBC)では世界経済の見方について「慎重な楽観論」が広く聞かれた。米国経済の予想以上の強さが背景にある。一方、不動産セクターを中心に失速感が強い中国については、急激な金融危機は回避できそうだが、慢性的(chronic)な金融危機は視野に入れるべきだとの見方が強かった。
②日本経済も足元では中国経済の動向への懸念があるものの、コロナ禍からの緩やかな回復基調にある。ただ、中長期では2030年代の10年間で生産年齢人口が1000万人減る大転換期を控え、 経済の環境が大きく変わってくる。生産性を回復し、日本経済をシェイプアップしてなければ成長はおぼつかない。労働力確保のためには移民を受け入れなければならなくなる。長期的にはベーシックインカム的な新しい分配の制度が必要になるだろう。
③日本の課題は山積だが、今回の骨太方針が初回の骨太の1.5倍の45ページに及ぶことからわかるように、岸田政権はいろいろな政策を決め切れないでいる。一方で大事なことが国民的な議論もなく決まっている面もある。内閣官房が肥大化し、各省庁からの出向者が省庁の縦割りを引きずり、様々な政策を整合的に見ることができず、ガバナンスが取れていないことは大きな問題だ。