「デリスキング」下のサプライチェーン

冨浦英一・一橋大学大学院経済学研究科教授
開催:
09月12日(火) 14:00~15:00
会場:
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*収録動画の配信期間:2023年12月11日まで

■講師略歴
(とみうら えいいち) 1984年東京大学経済学部卒、92年Ph.D.(マサチューセッツ工科大学(MIT))。95年信州大学経済学部助教授、98年通商産業省(現経済産業省)法令審査委員、大臣官房企画調査官、2000年神戸大学経済経営研究所助教授、03年同教授、05年横浜国立大学経済学部教授、12年同大学経済学部長などを経て、15年から現職。『アウトソーシングの国際経済学』で第58回日経・経済図書文化賞、14年度エコノミスト賞受賞

■要旨
サプライチェーン再構築へ転機─求められる多面的・長期的な視点

①グローバル・サプライチェーンにおいては、モノの取引に代わって、サービス、知的財産、技術、デジタルデータなどの無形の要素の重要性が増している。これらはモノの取引にも付随しており、これらの越境移転を円滑化することが、サプライチェーンの持続可能性を高める。

②コスト/ベネフィットに偏った従来のグローバル・サプライチェーンではなく、今後はリスク軽減の観点から、供給先を分散化し、広範なサプライヤーを探す「デリスキング」の概念が重要となる。増加する取引コストへの対策として、企業はサプライヤーが立地する環境に応じて業務区分を行い、コスト/ベネフィット/リスクのトレードオフを適切に計算することも求められる。

③現在の米中対立はグローバル・サプライチェーンに長期的な影響を及ぼしかねない。影響を想定するには、直接的な供給停止や生産制約に焦点を当てた試算だけでなく、技術移転や情報伝播の滞りによる経済成長の減速など、長期的なダイナミックな効果も考慮すべきである。企業はこのような状況を踏まえ、サプライチェーンの再構築に取り組んでいく必要がある。