- 開催:
- 09月27日(水) 14:00~15:00
- 会場:
- ---
*収録動画の配信期間:2023年12月26日まで
■要旨
社会・経済の新たなあり方を争点に─重要になる、緊張感ある政党間競争
①現在の日本政治を「ネオ55年体制」だと評する人がいるが、自民1強という構図は同じでも、自民党の内部構造は55年体制当時とはかなり異なる。選挙制度が小選挙区制中心に変わったために派閥の力が弱まり、政策はトップダウンで決まるようになった。一方、野党は外交・安全保障政策などで各党の違いがあるが、それ以外の対立軸を追求してまとまる誘因はある。
②1990年代から15~20年かけて行われた政治改革は、選挙制度だけでなく、行政や地方分権などを含む大規模な統治機構の変革だった。ただ、改革には方向性が違うものが混在し、内政面では改革が貫徹していない部分が多く残った。国会では野党の抵抗による審議の遅延などの問題が今なおある。
③自民1強は当面は続くだろう。これに対し、野党は重要な争点に合意してまとまる必要があり、その軸は社会・経済のあり方についての新たな政策になると思う。それには時間がかかりそうだが、日本には分極化のリスクが少ない一方で、社会経済構造の変革を欠いた長期衰退の懸念がある。政策論争による、大政党を中心にした緊張感のある競争が、日本の政治には不可欠だ。
■講師略歴
(まちどり さとし)1993年京都大学法学部卒業。96年京都大学大学院法学研究科博士後期課程退学。2003年京都大学博士(法学)。大阪大学助教授などを経て、07年より現職。現在、京都大学公共政策大学院長も務める。専門は比較政治論。著書に『首相政治の制度分析』(千倉書房、2012年、サントリー学芸賞受賞)、『政治改革再考』(新潮社、2020年)など。