- 開催:
- 10月18日(水) 14:00~15:00
- 会場:
- ---
*収録動画の配信はございません
■講師略歴
(もりた きょうへい) 1994年九州大学卒業、野村総合研究所入社。英国野村総研ヨーロッパ、野村證券金融経済研究所を経て、バークレイズ証券(2008~17年)およびクレディ・アグリコル証券(2017~22年)にてチーフエコノミスト。22年7月より現職。2000年米ブラウン大学より修士号(経済学)、18年九州大学より博士号(経済学)を取得。
■要旨
反応弱い賃金・物価の相互作用
―24年秋まで金融政策維持の公算
① 日銀の目標は、景気の浮き沈みに左右されず、「自律的」に2%インフレが定着することである。そのためには賃金と物価が相互に作用しあって上昇を続けなければならないが、実質賃金の増加やそれに伴う需要がまだ弱く、持続的で安定的なインフレを生み出すメカニズムにはまだ遠い。
② 名目賃金の上昇ペースは期待よりも低く、2%インフレの定着を促す観点からは足りない。物価は足元に勢いはあるものの、その持続性は確立されていない。日本のインフレは食料インフレの色合いが濃く、今後はグローバルな食料価格の下落などに伴って鈍化する見通しだ。
③ 日銀によるYCC(長短金利操作)の撤廃は2024年10~12月期となろう。ただし、賃金・物価の好循環の確立に目をつぶり、世論への対応や為替動向を勘案して緩和撤廃を早める可能性もある。このように「ゴールポスト」を動かす場合、政策修正は23年中に前倒しされうる。