中国の再生可能エネルギー開発の取組みと展望─産業育成の視点から
- 李志東・長岡技術科学大学大学院情報・経営システム系教授
- 聞き手)湯浅健司・日本経済研究センター首席研究員
- 開催:
- 10月26日(木) 14:00~15:00
- 会場:
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*収録動画の配信期間:2024年1月25日まで
■要旨
中国の国家戦略としての再エネ開発が成功─「中国モデル」で技術開発促進を
①中国は、2030年までにCO2排出量をピークアウトさせ、60年までにカーボンニュートラルを目指す、「3060脱炭素目標」を表明している。「3060脱炭素目標」は、実現可能性を熟慮した上で決定された目標で、国際公約の性格を持つものである。中国は、「3060脱炭素目標」実現に向け、国家戦略として再生可能エネルギー(再エネ)開発を進めている。
②具体的には、再エネ関連法整備とともに、政府による補助金給付、固定価格買取り制度(FIT)の導入などの支援措置から再エネ目標規制とグリーン証書取引制度への転換による促進対策の最適化、発送電分離などの電力システム改革などに取り組んできた。その結果、中国では再エネ電源の導入が急速に進んでいる。同時に、万国共通の課題となる脱炭素化と電力安定供給の両立を図り、揚水発電、二次電池による蓄電、送電網整備などに取り組んでいる。
③中国の再エネ産業と関連する企業の発展も著しい。現在、太陽光発電産業チェーンの上流から下流まで、中国企業は世界的に大きなシェアを占めている。再エネ開発は産業振興、貧困脱出にもつながるものでもあり、中国の基本戦略や取り組みは、特に発展途上国を中心に参考になるモデルだろう。
■講師略歴
(Zhidong Li)1983年中国人民大学卒、90年経済学博士号取得(京都大学)。日本エネルギー経済研究所研究員、主任研究員、長岡技術科学大学助教授、准教授を経て、2007年から現職。日本エネルギー経済研究所客員研究員、中国発展改革委員会能源(エネルギー)研究所客員研究員などを兼任