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ESPフォーキャスト調査


フォーキャスターが日頃、どのように予測をしているのか、実施体制やプロセスを尋ねる「予測スタイル調査」を実施しました。
ポイント解説、集計表はこちら(17年2月21日)NEW!


10〜12月は年率1.2%成長見込む−−割れる「トランプ政策」の評価

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2017年2月調査を公表しました(2017年2月9日)

 消費は足踏みだが、設備投資と輸出が伸びて年率1.2%成長に――。民間エコノミストが見込む10〜12月期国内総生産(GDP)の平均的な姿だ。同推計値は前月の0.86%から上方修正となった。2017年度の実質成長率予測も7カ月続けて上方改訂となり、全体に明るさがにじむ予測となった。一方、1月下旬の大統領就任で始動した「トランプ政策」が、3〜4年後の米成長率にどう響くかを聞いたところ、「高くなる」と「低くなる」がほぼ同数で評価が分かれた。12月時点の調査と比べると、米経済にマイナスと見るフォーキャスターが増えている。

@10〜12月期、設備・輸出が押し上げ――17年度は上方修正続く
 10〜12月期の実質成長率見通しは、1.20%(前期比年率)と12月調査から0.34%ポイントの上方修正になった。内訳を見ると、輸出が前期比0.68%から1.56%に、設備投資が同0.38%から0.65%へと改訂されたのが利いている。一方、GDPの半分以上を占める民間消費予測は0.19%から0.05%に引き下げられた。
 同様の傾向は17年度についても見られる。実質成長率予測は1.16%と、12月の1.11%から上向いた。上方修正は昨年8月から7カ月連続だ。今回は特に前月予測に比べ、輸出(2.99%→3.39%)、設備投資(1.92%→2.10%)の見通しが上向いた。逆に、民間消費は0.82%から0.77%に、民間住宅投資も0.93%減から1.11%減に下方修正となり、家計部門は足踏みだ。公共投資も3.95%から3.25%に引き下げられた。


Aトランプ政策、「成長落とす」が増加――保護主義に懸念が倍増
 過激な政策は実際には控えるのでは――。そんな期待を裏切り、トランプ大統領が次々に「公約」どおりの政策を打ち出している。TPP(環太平洋経済連携協定)からは早々に離脱、自動車メーカーには米国への投資や雇用増を強く促す。一部の国からの入国制限を試み、難民受け入れも停止した。今後も手荒な政策が飛び出してくる可能性はありそうだ。
 トランプ政策が、3〜4年後に向けて米国の成長率を高めると思うかを、フォーキャスターに尋ねた。「やや」も含めて高まると答えたのが15名、低くなるが16名と評価が分かれた。ほぼ同じ質問をした2カ月前の12月調査では、2対1で「高まる」派が多かったのと比べ、慎重派が増えている。



 低くなる理由で最も多かったのは「保護主義で貿易が鈍化する」で、前回の約2倍に増えた。次いで「長期金利が上昇する」が多く、積極財政が金利上昇を招くことを懸念している模様だ。成長率が高まる理由では、積極財政のプラス面を評価する「インフラ投資が増えそうだから」「法人税が引き下げられそうだから」が多かった。
 今回目立ったのは、自由回答欄への記入が多かったことだ。特に「低くなる」派からの書き込みが多く、選択肢に収まりきれない不安が募っていることをうかがわせる。
 自由回答はざっと3種類に分かれる。1つは、物価上昇や金融引き締めを挙げる回答で、「長期金利上昇」と似た見方だ。インフレ、スタグフレーション、輸入物価上昇などを挙げた回答が合計4名に上った。2つめは、積極財政の効果に疑問を呈する回答で、減税や公共投資増の反動が出る可能性や、将来の増税や歳出減を予想すれば消費が慎重になるとの指摘があった。3つめは、政治の混乱だ。「社会の分断で政治が停滞し生産性が落ちる」「クローニー・キャピタリズム(縁故資本主義)が蔓延」を懸念する声があった。

B為替の相場観も割れる――「ばらつき」が7年ぶりの高さに
 トランプ政策を表現するキーワードの1つは「二面性」かもしれない。副作用を承知で劇薬を処方し、効能(見返り)を求める。為替についても「二面性」が言える。財政拡大の効果を織り込めば、金利上昇観測などからドル高・円安予想が生まれる。半面、「日本は為替を操作」などの発言が飛び出すと、一転円高含みとなる。ドル高とドル安の材料がトランプ政策には同居している。
 本調査の過去データを用いて、相場観のばらつきを描いてみた。フォーキャスターには毎回、円相場の先行きを四半期ベースで答えてもらっている。4四半期先の予想について、高位8機関平均と低位8機関平均の差をとったものが、下段の棒グラフだ。いわば、ESPフォーキャスト調査版の「円相場ボラティリティ」だ。これをみると、同ボラティリティは大統領選後の12月調査でハネ上がり、2月は高低位の差が15.0円と2009年12月以来の高水準になった。フォーキャスターも、為替の方向感をつかみかねている。


 

C「次は引き締め」、緩和予測と互角に――「次は枠組み変更」も増える
 今回も日銀の金融政策の次の一手を尋ねている。回答をみると、「次も緩和」が「総括検証」があった直後の10月調査では大部分を占めていたのが、11月以降じりじりと減り、今回は12名と全体の約3割に減ってきた。逆に、「次は引き締め」と読むフォーキャスターは9月のゼロから今回は11名まで増え、緩和派とほぼ互角になった。もう1つ注目したいのは、「中立」の回答が最も多くなったことだ。緩和・引き締めのどちらにも分類しにくい枠組み変更が、いずれ必要になると見るフォーキャスターが増えている。
 2月調査では回答者総数は39人、そのうち、年内に政策変更を予想した回答者10名のなかでは、緩和が4名(3月1名、7月3名)、中立が4名(4月と7月それぞれ2名)、引き締め2名(9月、10月各1名)となった。また、18年1月以降に次の金融政策変更が行われると予想した回答者29名の内訳をみると、緩和が8名、中立が12名、引き締めが9名となった。


D景気上昇期間、平成景気と並ぶ
 我が国の“景気時計”は12年11月の「谷」で止まっている。「次の景気転換点(山)は過ぎたかどうか」との問に今月は14名が「はい」と答え、24名が「いいえ」と答えた。アベノミクスは天井を迎えた、と答えた14名も、内11名はすでに底を打ち、現在は景気上昇中との判断だ。景気後退中との判断は3名に止まっている。アベノミクス景気は今も上昇を続けているというのがコンセンサスと言って良い。
 2月も景気上昇とみると、アベノミクス景気の上昇期間は51カ月になる。史上3番目に長い80年代後半の「平成景気」(いわゆる「バブル景気」)に並んだことになる。
 17年1〜3月期の予測を使って12年第W四半期から17年第T四半期まで、17四半期の主要需要項目平均伸び率を計算してみた。実質成長率は四半期ベースの年率(瞬間風速)で1.3%になる。円安下でも伸びないといわれた輸出が4.6%と高い。民間設備投資も2.8%でまずまず。低いのは消費で0.4%だった。同じように86年第W四半期から91年第T四半期まで、17四半期の平均伸び率を求め、アベノミクス景気と平成景気の比較グラフを描いてみた。


 平成景気はバブル景気の異名の通り、活力にあふれた景気だった。平均成長率は5.4%、民間設備投資は実に年率12.2%ものすごい伸びだった。アベノミクス景気のレーダーチャートは平成景気に飲み込まれてしまうような貧相な姿である。
 だが、いざなぎ景気の57カ月、小泉景気の73カ月を上回っていけば歴史に残る“長命景気”も夢ではない。

E中国景気見通し「短期楽観・長期警戒」一段と
 1月の中国製造業PMI(購買担当者景気指数)は51.3だった。景気上昇・下降の分かれ目になる50を6カ月続けて上回った。
 こうした地合いを受けてフォーキャスターのPMI予測も短期的には強い判断になっている。今年1〜3月期で上昇と答えたフォーキャスターは30人。保合は5人、下降は0人だったから、圧倒的に上昇判断だ。4〜6月期になると、上昇は23人といくぶん減るが、それでも回答者35名の3分の2を占める。だが、上昇判断は7〜9月期が18名、10〜12月期は13名と次第に減っていく。来年1〜3月期になると9名と一桁になり、翌4〜6月期も9名だ。
 上昇を100、保合を50、下降を0にして指数化したものを前々回の16年8月調査、前回の同11月調査と一緒にグラフにしてみた。


 16年8月調査は全般的に厳しさが前面に出た予測だった。16年11月調査は目先の持ち直し修正に特徴があった。そして今回は「短期楽観・長期警戒」がはっきり描かれた予測になっている。
 中国の経済論壇で有力になっている「L字型回復」を表した予測とみることもできる。短期的にはバブル的好況感が表れているが、投資主導型成長時代に生まれた膨大な過剰生産能力、過剰債務の処理がだんだん待ったなしの状態を迎える。
 中国実質成長率の予測は16年実績の6.7%の後、17年は6.43%、18年は6.28%とゆっくりだが着実に減速する姿になっている。この減速がどこまで続くのか、「正常な経済」へのソフトランディングができるのか――中国経済の先行きが世界経済のカギを握っている。

(門多治・猿山純夫・池田吉紀)  

調査結果

2015年12月調査まではどなたでもご覧になれます。

調査参考資料(PDF形式)・関連資料はこちら

■「ESPフォーキャスト調査」とは
 経済企画協会が2004年から実施してきた「ESPフォーキャスト調査」事業を2012年4月より日本経済研究センターが引き継ぎました。
 この調査は日本経済の将来予測を行っている民間エコノミスト約40名から、日本経済の株価・円相場を含む重要な指標の予測値や総合景気判断等についての質問票に毎月回答頂き、その集計結果から、今後の経済動向、景気の持続性などについてのコンセンサスを明らかにするものです。

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調査結果の公表予定
2017年3月調査 3月17日
2017年4月調査 4月10日
いずれも15:00頃を予定

*上記の予定は現時点での予定であり変更する可能性があります。