新興国を中心とした世界経済の悪化、熊本を中心とした直下型地震の影響で2016年度の日本経済はもたつくだろう。政府が17年4月に予定する消費増税も見送られる可能性がある。本来であれば、少子高齢化や莫大な公的債務の返済に対応するには消費税率の10%への引き上げは避けられない。日本の消費税率は欧米先進国に比べて低く、引き上げ余地は十分にあると考えられているが、経済情勢が悪くなるたびに引き上げが見送られる状況が続くようでは、日本の財政に対する信任が揺らぎ、財政破綻へのリスクが高まろう。景気に配慮しつつ財政健全化への道筋をつけるために、政府から独立して経済・財政見通しを作成し、社会保障改革を含む財政健全化の目標を設定する「財政評価委員会」の設立を提言する。
<提言要旨>
- 景気下支えに5兆円を支出、中長期の視点で具体策、バラマキは避けよ
- 社会保障制度の維持、財政の持続性を考慮すると、中長期の増税は不可避
- 消費増税再延期なら、政府から独立した「財政評価委員会」の設立を
- 同委員会は経済・財政見通しを作成、社会保障改革を含む財政健全化の目標を設定する
- 同委員会の健全化目標に基づいた税・社会保障改革の工程表を2年以内に作成する
- 同委員会には原子力規制委員会並みの権限を付与。政府の目標達成状況を評価し、改善を政府に勧告
- 成長促進への移民の受け入れ、ICTフル活用などの改革の即時実施
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