菅義偉首相は4月下旬の気候変動サミットで2030年度までに温暖化ガス(主にCO2)を13年度比46%以上削減することを表明したが、50年度までに脱炭素社会(排出量ゼロ)実現を目指す日本にとって、これは必達の目標といえる。しかし10年足らずで自国のみで温暖化防止目標を達成しようとすると、国際的な競争力に影を落とす可能性もある。温暖化防止を世界で円滑に進めるためにも世界一の温暖化ガス排出国である中国を巻き込んだ削減策が不可欠。成功すれば世界全体の削減量は4倍近くになる。欧州が検討を進める炭素国境調整措置(国境炭素税)は「中国巻き込み」の有力な政策手段であり、CO2排出に世界共通で価格付け(カーボンプライシング)する仕組み作りの一里塚になるだろう。
本リポートは21年7月15日付け日本経済新聞朝刊3面「EU、域内並み対策要求 国境炭素税 国際摩擦の火種に」で一部引用されました。
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