一覧へ戻る
デジタル社会研究

DX加速社会は円高にメリット

製造業では円安メリットが拡大

落合 勝昭
  特任研究員
小林 辰男
  政策研究室長兼主任研究員

2021/08/03

 第47回中期経済予測で想定した2050年のDX社会の産業構造を2015年の経済規模に当てはめ、これを現実の2015年産業連関表と比較することでDXと為替変動の関係を分析した 。産業全体では、両者の為替変動の影響はほとんど同じと言えるが、DXを加速させると、加工組立産業は円安の恩恵を得やすくなり、化石燃料の輸入が大幅減になるエネルギー産業も円安によるマイナス効果は小さくなる。一方、IT(情報技術)サービスは円高メリットを受けやすくなる。製造業中心で輸出に依存する経済では、円高懸念が強調されがちだが、DX社会にシフトすればするほど、円安のデメリットよりも円高のメリットが大きくなるだろう。円高による交易条件の改善は、理論的には海外への所得流出を押さえ、豊かな生活をもたらすことにつながるとされるが、日本の経済社会はデジタル化するほど、この理論どおりになる可能性が高い。

図 製造業は円安メリットが拡大するが、非製造業は円高メリットが大きくなる

(注)2015年産業連関表と日本経済研究センターが第47回中期経済予測で作成した2050年DX社会の産業連関表を2015年時点に修正し、10%の円安・ドル高が日本の産業に与える影響を試算した。

(資料)総務省『産業連関表』、日本銀行『輸出入物価指数の契約通貨別構成比』を基に、日経センター推計

 

※本レポートは日本経済新聞8月4日付け朝刊1面「通貨漂流 ニクソン・ショック50年 ③」の記事で一部引用されました。

バックナンバー

2021/12/24

行動実績をAI分析、少額与信を可能に

キャッシュレス決済、顧客の元手資金の獲得がカギ

議事要旨 第22 回

2021/12/10

温暖化対策の移行金融、国際原則は2023年までに策定

金融機関のDX対応、規制緩和・インフラ整備で促進

議事要旨 第21 回

2021/10/13

グローバル市場への売り込み、半導体復権のカギ

半導体、データセンターやAI向けなどが主流に

議事要旨 第20回

2021/09/10

脱炭素、電炉でスクラップの最大活用

リサイクルでも高品質鋼板が可能に

議事要旨 第19回

2021/08/12

医療画像システム、AIが競争力の決め手

個人情報保護と利活用の仕組み整備が不可欠

議事要旨 第18回

2021/08/03

DX加速社会は円高にメリット

製造業では円安メリットが拡大

落合 勝昭小林 辰男

2021/07/26

損保、DXでビジネス環境は大変化

保険の概念の根底を揺さぶる

議事要旨 第17回