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コロナ危機と闘う

第6波収束には2月上旬にも緊急事態宣言を

宣言期間中にワクチン3回接種を加速
放置は濃厚接触者1日100万人超、21年度GDPを0.5%押し下げ

高野 哲彰
  副主任研究員
小林 辰男
  政策研究室長兼主任研究員

2022/02/01

 政府は首都圏や京阪神、東海地方など34都道府県にまん延防止等重点措置を適用しているが、オミクロン株の感染爆発が続いている。医療や経済への影響を最小限に抑え、収束させるには3回目のワクチン接種により、国民が集団免疫を持つ状況を作り出すことが欠かせない。緊急事態宣言を発出して人流を2021年夏のレベルまで低下させる必要がある。ワクチン接種の加速のみで収束させることは楽観的な接種の加速を想定しても難しく、濃厚接触者増で21年度の実質GDPを0.5%押し下げる恐れがある。

《ポイント》

(1) 感染爆発により、重症病床も使用率が4割を超え、医療崩壊の恐れ。3回目のワクチン接種が加速するという楽観的な想定でも感染爆発を防げない。

(2) 濃厚接触者は最大100万人超/日になり、経済への下押し圧力は21年度の実質GDPの0.5%(約2.5兆円)に及ぶ恐れ。

(3) 医療崩壊を防ぎ、濃厚接触者の急増を防ぐには、感染拡大のきっかけになりやすい飲食や大規模イベントを抑制する、1カ月間の緊急事態宣言が必要。

(4) 緊急事態宣言を発出した場合の経済影響は21年度の実質GDPを0.3%程度(約1.5兆円)押し下げ。

図 3回接種と緊急事態宣言のセットで早期感染収束(週あたり新規感染者数)

(注) 実績の直近は22年1月23日の週。3回接種シナリオは2月初めから接種が本格化し、21年と同じ進捗になり、3回接種した人はオミクロン株の感染確率が低下すると仮定。
(資料)厚生労働省、Google “COVID-19 Community Mobility Report”

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2022/02/01

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