2023年2月10日、政府は「GX(グリーントランスフォーメーション)実現にむけた基本方針」 を閣議決定し、つづいて28日には関連法案(いわゆるGX脱炭素電源法案)を閣議決定した。表向きには既存の「第六次エネルギー基本計画」(2021年)の枠内、という位置づけになっているが、原子力政策についていえば、許認可期限を超える運転期間の延長、新設(更新)のための政策導入、新型革新炉の研究開発など、これまでの政策の大転換を明らかにしたと考えられる。果たして、この政策に合理性、実効性はあるのか。また政策決定に至るプロセスは十分であったか。福島第一原発事故から12年目を迎える今、その教訓を本当に踏まえた政策なのか、という観点も含めて検証してみる。
ポイント1.「GX基本方針」にウクライナ侵攻の影響――エネルギー危機が全面に
2.「運転延長」、経産相の所管に――規制の独立性に疑い招く
3.「次世代革新炉」新設、運転延長政策と矛盾も
4.「原子力基本法」改正は不要では?
5.原発政策の如何に関わらず必要な課題に注力を
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