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米ブルッキングズ研究所と共同政策提言

「リーマン・ショック後の政府・企業・市場の関係を点検する−企業支援策を中心に」
小峰隆夫・日本経済研究センター主任研究員


小峰隆夫・日本経済研究センター主任研究員  リーマン・ショック後、未曾有の経済的混乱に陥る中で、政策的にもかつて例を見ないほどの対応が取られてきた。ここで注意しなければならないのは、踏み込んだ政策的対応が取られるということは、必然的に自由な経済活動への公的な介入が強まるということでもあるということだ。強い政策的介入で危機に対処することは、その裏側で公的介入が自由な市場の資源配分メカニズムを阻害するという危険を強めているということである。

 我々は、危機が大きければ大きいほど政策的対応に大きな期待を寄せるから、その政策が持つ負の側面への配慮を怠りがちとなる。危機への対応の効果を見定めながら、なるべく早く政策的対応を止めていくという「出口戦略」が重要となるのはこのためである。

 こうした問題意識の下で、財政・金融政策については既に国際的にも出口戦略についての議論が始まっている。そこで本稿では、特に一般事業会社(金融業以外の事業会社)への政府支援(以下、「企業支援策」と呼ぶ)について検討する。

 企業支援策を取り上げる理由は次の2つである。

 一つは、企業支援策は、リーマン・ショック後の臨時異例の政策措置の中でも特に臨時異例である度合いが大きいことだ。経済的には、預金を受け入れる銀行業については、システム・リスクがありうるという観点から、公的な支援措置が必要な場合があるとされてきたが、通常の事業会社については、公的支援の根拠は乏しいとされてきたからだ。

 もう一つは、企業支援策は、政策的介入と市場との関係が特に問題化しやすい分野であることだ。自由な企業活動は、市場メカニズムが有効に作用するための根幹に属する部分だからだ。

 こうして、従来ではありえなかったような、市場の根幹分野にまで政府が介入することに問題はないのだろうか(注1) 。

 注1 本稿の作成に当たっては日本経済研究センターから小林辰男、竹中慎二、安部直樹(米ブルッキングス研究所へ派遣中)、日本経済新聞編集委員、西條都夫氏が議論に参加した。また検討に際して、株式会社経営共創基盤代表取締役CEO、冨山和彦氏に意見を伺う機会を得た。

1.広がる政府介入と出口戦略の必要性

 2008年9月のリーマン・ショック後、世界経済、日本経済は未曾有の経済的大混乱に陥った。金融市場から資金が引き上げられ、経済活動は大幅にダウンした。金融面、実体活動面での混乱は、金融市場、貿易を通じて国際的に波及し、大恐慌の再来もありうると真剣に懸念されるほどの事態となった。

 こうした中で、各国は経済的混乱に歯止めをかけるため、次々に臨時異例の政策的対応を打ち出した。日本も同様であった。未曾有の危機に対して、未曾有の対応が取られたのである。その主なものは次のようなものであった。

 第1は、金融面での措置である。サブプライム危機の発生後、日本では当初は、金融への影響は比較的限定的なものにとどまっていたが、リーマン・ショック後は、投資家のリスク回避姿勢が強まり、特に、社債、CP市場からの資金調達が困難化した。

 こうした金融市場における動きに対応して、日本銀行は2次にわたって政策金利の引き下げを行ったほか、金融市場の安定と企業金融の円滑化を目指して、企業金融支援特別オペレーションの実施、CP・社債の買い入れなどのいわゆる「非伝統的な金融政策」を取り入れた。また、金融システムの安定を図るため、金融機関保有株式の買い入れなどの措置を行った。

 第2は、財政面からの需要刺激措置である。2008年8月以降、政府は4 度にわたる経済対策をとりまとめ、3度にわたる補正予算を編成した。こうした中で、定額給付金の配布、住宅ローン減税、環境対応車購入への補助などの需要刺激策が講じられた。この他、雇用対策、金融対策なども含め、投じられた国費の総額は約26兆円にものぼっている。

 第3が、本稿の主題である企業支援であり、これについては後述する。

 こうした各種の臨時異例の政策措置の評価は難しいが、仮に大恐慌に近い事態が発生した場合の経済的打撃は想像を絶するものとなったはずであり、それが避けられたということだけでも、今回の政策はひとまずは妥当なものだったと評価されよう。

 しかし、真の評価が定まるのはこれからである。臨時・異例の政策措置は、あくまでも一時的なものであり、適当なタイミングで手を引いていくことが必要となる。これは、一連の措置には次のような副作用があるからだ。

 第1に、将来の経済のパフォーマンスを悪化させる可能性がある。例えば、異例の強さで継続されている金融緩和措置は、将来のインフレや円安の種を撒くことになっている可能性がある。

 第2に、将来世代の負担を大きくする可能性がある。財政面からの刺激措置は、言うまでもなく財政赤字を拡大させ、将来世代への負担の先送りを生じさせる。日本銀行の非伝統的な金融措置や政府の経営支援も、政府・日本銀行が企業の信用リスクを引き受けていることとなるから、場合によっては将来の国民負担となる可能性がある。

 第3に、長期的には市場の資源配分機能を損なう可能性がある。言うまでもなく、自由な経済活動を基本とする市場は、国民が所得をどんな分野に振り向けるか、その需要を誰が供給するかを、効率的に決めていくという機能を備えている。政府が特定の分野における需要を刺激したり、特定の企業を支援したり、特定の産業・企業に資金を供給することは、その効率的な決定機能を阻害することになる。

 第4に、金融支援、経営支援策などは、それが長引くと、支援を受ける側の自己改革努力を弱める可能性がある。いわゆるモラルハザードを引き起こすのである。

 したがって、一連の臨時・異例の措置については、経済実態の推移を見極めながら、徐々にこれを解除していくという「出口戦略」を進めることがこれからの大きな課題となる。これは、「短期的な政策目標」と「長期的な政策目標」との対立をいかに調整するかという問題である。リーマン・ショック後の事態を考えれば、短期的に種々の臨時異例の措置を取ることはやむをえなかった。しかし、長期的に持続的で力強い成長を実現させるためには、健全な金融システムを持ち、物価の安定と健全な財政バランスを維持し、自己責任原則に基づいた企業家精神が発揮されるマーケットを保持していくことが必要となる。必要以上に臨時・異例の措置を続けると、こうした長期的な経済目標が妨げられることとなる。これが「出口戦略」が必要とされる理由である。この出口戦略に成功するかどうかが、今回の一連の政策的対応の歴史的評価を決めることとなる。

2.日本におけるリーマン・ショック後の企業支援策

 日本においては、リーマン・ショック後、いくつかのタイプの企業支援策が行われてきた。こうした支援措置は、次の2つに大別される。

 第1は、金融支援である。政府は、金融危機への緊急対応の一環として、日本政策投資銀行と商工組合中央金庫を窓口として、企業向け緊急融資制度を創設した。この措置に基づく融資残高は、2009年8月末現在で約2兆7千億円であり、このうちデフォルトが生じた場合に政府が損失を肩代わりするという損害担保契約がついた分は約2,700億円となっている(注2)。

 注2:財務省「中堅・大企業向けの資金繰り対策としての危機対応の実施状況(8月末時点)」による。

 第2は、企業経営の再建支援措置である。代表的なものは2009年4月に成立した「改正産業再生法」に基づく措置である。この法律改正によって、政府は政策投資銀行を通じて、金融危機により一時的に財務状況が悪化した企業に資本注入を行うことが可能となった(注3) 。6月には、DRAMの製造メーカーであるエルピーダメモリが最初の適用認定を受けている。またアドホック(その場限り)な措置として、日本航空に対しても、日本政策投資銀行の融資に政府保証を付けるといった方策を通じて、政府が強く経営支援を行いつつある。

 注3:詳細についてはこちらの表を参照してほしい。

 こうした措置が取られた背景としては、次の2つが考えられる。

 一つは、リーマン・ショック後のリスクマネーの枯渇による企業の資金繰りの困難化である。リーマン・ショック後には、投資家が極端なリスク回避行動を取ったため、金融市場そのものが機能不全に陥った。政府の介入は市場の失敗に対応して行われるというのが原則だが、この場合は、「市場の失敗」というより「市場そのものが消えてしまった」とも言える。

 もう一つは、日本の製造業の生産水準がリーマン・ショック後異常に激しい落ち込みを示したことである。日本の生産活動の落ち込みは、危機の震源地である米国よりずっと大きかった。なぜこのような事態になったのかを、日米の自動車産業で比較したものを補論として掲げたので参照してほしい。

 こうした日本政府の企業支援策について評価する際に、まず必要なことは、これら政府の介入は市場が失敗する場合に限るという原則を確認しておく必要がある。この点に関しては、つなぎ融資については、リーマン・ショック直後には、金融市場そのものが機能不全に陥っていたから、緊急避難としてやむを得ない面があった。金融市場の正常化とともに、政府の支援も縮小していくことが必要である。

 一方、経営の再建支援については、次のような懸念がある。

 第1に、改正産業再生法による企業経営支援策は多岐にわたっており、必ずしもそれがどのような市場の失敗に対応したものかは明らかではないが、企業への資本注入の要件のうちの一つが「国内従業員が5千人以上か、そうした企業に代替困難な基幹部品を3割以上供給していること」となっている。これは、金融業でない一般事業会社についても「大きすぎてつぶせない(too big too fail)」という原則を適用しているようにも読める。これは政府が介入する範囲としては広すぎないか。


 第2に、融資だけではなく資本注入にまで踏み込むのは、国際的にも異例である。政府の介入が資源配分をゆがめないためには、政府が特定の産業・企業を恣意的に選択することのないようにしておく必要があるが、現行の資本注入では恣意性が入り込む余地が大きいのではないか。

 第3に、政府の介入は本来一時的なものであるべきだが、構造的課題が入り込むと、この原則を維持することが難しくなる。例えば、日本航空の業績不振は、単に経済危機によるものではなく、長期的に競争力を失ってきたことによる面が大きい。こうした構造問題を放置したまま公的な資金援助を続けると、政府の介入が長期化し、引いては将来の国民負担をもたらす可能性があるのではないか。

 第4に、日本的な官僚組織の特性が、政策体系の透明度を低くしたり、政府の介入を合理化、長期化させる可能性があることだ。

 日本の行政組織は、組織ごとに構成員が固定化しており、権限も縦割りになっている。このため、常に組織の機能を強め、自らの役割を拡大しようとする動きが特に強く作用しやすい。

 例えば、今回の産業再生法の改正について、改正の前と後を比較してみると、改正によって政府の関与がより踏み込んだものに、またより長期化しやすい形態のものに変わっている。結果的に政府の組織が拡大し、その役割が強化されていることは事実である。

 また、内閣府、経済産業省、国土交通省などの関係省庁が複雑に関連し合っているため、政策体系全体が外からは分かりにくくなっている面がある。

 こうして一度始められた政策措置は、それが長期化するにつれて、組織維持の観点が働くようになるため、役割を終えた後も、自らの論理では組織の退出が進まなくなる可能性が高いことに注意する必要がある。 

 リーマン・ショック後のような経済の大混乱があると、金融面、雇用面での不安が高まるため、ともすると経済を安定化するためであれば、何をやっても許されるという気分になりやすい。しかし、自由な市場を基本とする経済においては、企業活動はできるだけ自由であるべきであり、政府の介入は市場が失敗する場合に限って最小限にとどめるべきだという原則を忘れないようにする必要がある。

 経済の原則をないがしろにして、うやむやな根拠で政府介入が長期化すると、@産業・企業の退出を遅らせ、旧来型の産業・企業を温存すること、Aモラルハザードを生じさせ、企業の自助努力を弱めること、B間接的な保護貿易ともなりかねず、自由貿易の流れに反すること――といった問題点が現れることになる。

 以上のような問題は、いわゆる「政治主導」によって増幅される可能性がある。政治的な議論に任せておくと、「雇用への影響が大きいから大企業がつぶれるのは困る」「日本の基幹産業は維持すべきだ」という感情的な議論に基づいて政府介入が長期化することになりがちだからだ。

 以上のような点を考慮しても、日本の企業支援策について、あらかじめ出口を明瞭にしておくことは重要な意味を持つ。こうした観点からも、今回の一連の企業支援策については、省庁横断的な政策評価の枠組みを整備しておき、定期的にその必要性を吟味し、その存続の是非をチェックする仕組みを織り込んでおく必要がある。

3.事業会社への政府介入の日米比較

 今回の経済危機に際しては、米国においても、主に自動車産業を中心に企業支援策が行われてきた。特に注目を浴びたのが、ビッグ3への金融支援であるが、これについては、基本的には大手自動車産業の破綻を防ぎ、経済的混乱を防止したことは事実であり、経済危機からのソフト・ランディングに一定の役割を果たしたものと言える。

 これを日本の場合と比較しつつ評価してみると、次のような問題点がある。

 第1に、前述の日本の政府介入は、あらかじめ特定の産業をターゲットとしているわけではないのに対して、米国の措置は自動車産業に偏っている。このため、政府は、企業経営だけではなく、産業構造のあり方そのものに介入していることになる。

 第2に、米国の措置は国際的影響力が大きく、各国における自動車産業保護競争を誘発した面がある。

 米国政府がビッグ3救済に乗り出したことを受けて、多くの国が同様に自動車産業への救済措置を行っている。米調査機関のセンター・フォー・オートモーティブ・リサーチによると、2009年における自動車産業への政府支援は、米国(900億ドル)を筆頭に、欧州(600億ドル)でも巨額なものとなっており、世界全体では1642億ドル(約15兆6000億円)に達していると推計している(注4) 。

 注4:日本経済新聞2009年8月9日朝刊による。

 政府が企業活動を支援することは、それ自身が貿易制限的な措置ではないものの、結果的に自国産業を国際競争上有利にするから、間接的に他の国の貿易を阻害することになる。こうした意味で、産業支援は保護貿易につながることとなる。米国のビッグ3救済は、世界的な保護貿易への流れを誘発したことになる。

 第3に、米国の自動車産業の援助措置が長期化する懸念がある。米国の自動車産業の業績悪化が経済危機に伴う一過性のものであれば、一時的な政府の救済で立ち直る可能性があるが、米国の自動車産業の不振には長期的・構造的な課題が相当大きく関係している。

 米国の自動車産業は、環境対応の遅れなどにより長期的にシェアを低下させてきた。こうした構造問題の解決なしに、政府の支援を続ければ、介入は長期化することになるだろう。

4.望ましい出口戦略に向けて

 以上のような考察を踏まえて考えると、日米両国は、企業支援策について、次のような点に留意すべきである。

 第1に、介入による企業救済の効果は短期的であり、長期的には企業自身の自助努力のみが企業を救うことができるという大原則を確認しておくことが必要だ。

 第2に、財政金融政策と同様、産業政策についても、あらかじめ政府介入についての出口への道筋を明らかにしておくことが必要である。

 第3に、出口戦略について国際的に足並みを揃えておくことが必要である。各国がお互いの行動を見ながら対応していると、先に出口に向かった国は競争上不利な状況となるから、誰も自ら進んで出口に向かわないことになり、介入が長期化する危険がある。

<補論>日米における自動車生産の落ち込みの比較

 リーマン・ショック後の自動車産業の生産の落ち込みは日本の方が圧倒的に大規模だった。2009年第1四半期の乗用車生産(トラックを除く)を前年同期と比較すると、米国が57万台の減少であったのに対して、日本は137万台もの減少だった。

 なぜこのような現象が起きたのだろうか。この背景をみるために、日米における自動車市場での総需要と総供給の変化を比較してみよう。ここで、総需要は、国内販売、輸出、在庫増加の合計であり、これに対する総供給は、国内生産と輸入の合計となる。総需要と総供給は等しくなる。日本の乗用車市場については、2009年第1四半期の乗用車需要は前年差139万台減少した。その内訳は、国内販売の減少が32万台、輸出の減少が100万台、在庫の減少が7万台であった。これに対して、供給側は、国内生産が137万台の減少、輸入が2万台の減少であった(図1)。



 一方、米国市場では、同期間に、乗用車需要は前年差71万台減少した。その内訳は、国内販売の減少が52万台、輸出の減少が7万台、在庫の減少が12万台であった。供給側は、国内生産が57万台の減少、輸入が14万台の減少であった(図2)。



 つまり、米国は輸入依存度が高いため、大幅な需要の減少は、米国の乗用車生産だけでなく輸入を大きく減らした。一方、日本は輸出依存度が高いため、輸出が大きく減少し、これに国内販売の減少が加わった。こうして米国より日本の乗用車生産が大きく減少したのである。

 自動車生産の落ち込みは、産業間の波及効果を通じて国内生産全体を減らす。自動車需要額が1単位変化するとき、生産額全体が何単位変化するかを日米の産業連関表を使って比較してみると、日本が2.38、米国は2.10となる。日本より米国が小さいのは、輸入による漏れが大きいためではないかと考えられる。

 鉱工業生産の推移を見ると、2009年第1四半期の前年比減少率は、日本が34.0%、米国が11.6%であった。このうち、自動車産業の寄与度を計算してみると、日本がマイナス9.2%、米国はマイナス1.6%となる(図3)。自動車産業の比重が大きな日本では生産全体の落ち込みに対しても、自動車部門が比較的大きな影響を及ぼしたことが分かる。
(研究員 竹中慎二)


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<背景説明>
◆日本政府の企業支援−−まずエルピーダに300億円の資本注入

 日本政府の大企業支援策は大きく2つある。ひとつは、金融危機でコマーシャルペーパー(CP)の発行ができなくなったり、銀行から融資を受けられなくなったりした場合の資金繰り支援だ。日本政策投資銀行に緊急融資制度を創設し、融資残高は8月末現在で約2兆7000億円に上る。このうち貸倒時に政府が損失を肩代わりする損害担保契約(政府保証)が付いている分は約1800億円となっている。

 もうひとつは経営再建支援だ。代表的なものが4月に成立した改正産業再生法に基づく資本注入。6月には世界3位のDRAMメーカー、エルピーダメモリが最初の適用認定を受け、政府が300億円の増資を引き受けた。

 再生法と別に、国土交通省が日本航空に対する経営再建を主導し、その枠組みで政投銀が600億円(政府保証は480億円)を融資した。だが新政権下で前原誠司国交相が主導方法の抜本見直しを表明。OBの年金負担などのGM同様の問題を解決できるのか、不透明な情勢だ。






◆米政府の企業支援−−自動車産業に883億ドルの資金

 米国政府から米自動車産業に対する2009年の支援額は、883億ドル(米調査機関センター・フォー・オートモーティブ・リサーチ調べ)に達する見込みだ。ドイツ政府もオペルに対して15億ユーロのつなぎ融資を実施するなど、欧州にも支援の動きが広がる。

 GMもクライスラーも、当面の運転資金は手当てできたが、競争力低下による市場シェアの落ち込みに歯止めをかけられるのか。

 昨年秋時点で、GMの生産コストはトヨタ自動車よりも1.5倍高かった(ドイツ銀行推計)。全米自動車労組(UAW)は新生GMやクライスラーの大株主になることを条件に、労務費削減などに合意した。GMは課題だったOBの医療保険負担を軽減できた。だが年金制度や賃金水準は、ほぼ維持されている。

ブルッキングス研究所ロバート・クランドール氏の提言「米国の「産業政策」−GMとクライスラーの救済措置」はこちら




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