トップ » 研究リポート » 中国・アジアウォッチ » 2018年8月6日掲載

JCER 中国・アジアウォッチ

シリーズ企画「転機の朝鮮半島」【第5回】
経済制裁が北朝鮮の生産活動にも打撃――マイナス成長、5ヵ年戦略達成に暗雲

概要

 非核化をめぐる駆け引きが続く中、北朝鮮の経済が国連制裁などの影響でマイナス成長に転じた模様だ。韓国の中央銀行である韓国銀行が発表した「2017年の北朝鮮の経済成長率推定結果」の内容を紹介しながら、北朝鮮の生産活動をめぐる動向を分析する。


【第5回のポイント】

@ 韓国銀行の推計によると、2017年の北朝鮮の実質国内総生産(GDP)は前年比3.5%減り、2年ぶりにマイナス成長に転落した。16年は3.9%増と17年ぶりの高水準を記録したが、17年は30兆8823億韓国ウォン(約3兆円)と、一転して減少した。

A マイナス幅は多くの餓死者を出した「苦難の行軍」の時期の1997年の6.5%減以来の大きさだ。軽工業部門と政府サービス部門を除き、ほとんどの産業部門でマイナス成長だった。最大の貿易相手国である中国を含む国際社会の経済制裁の影響が大きい。

B この結果、名目GDPでは鉱工業、建設業、電気ガス水道業の割合が前年比で下落し、農林漁業とサービス業の割合が上昇した。国民総所得(GNI)は韓国の47分の1(2.1%)の水準で、1人当たりGNIは23分の1(4.4%)の水準にとどまった。

C 金正恩政権は2016年5月の党大会で「国家経済発展5ヵ年戦略」を提示し、今年4月には経済建設に集中する新路線を打ち出した。9月9日の建国50周年には成果をアピールしたい思惑と見られるが、生産の低迷が続くと目標の達成は困難となる。

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