「経済百葉箱」は当センター経済予測班による分析リポートです。このうち「番外編」は、主に新年度から研修を開始した企業・団体からの派遣研究生が、「第一弾」としてまとめたリポートです。 第170回改訂短期経済予測(SA170R、2017年6月8日公表)、第43回中期経済予測(2017年3月29日公表)を踏まえ、4班に分かれて、異なるシナリオを描きました。 短期担当の2班は、米国について正反対の想定を起点とした「好景気シナリオ」と「景気低迷シナリオ」を示しました。中期担当の2班は、技術革新がもたらす成長シナリオと、地域の人口集積と多様性に基づいた成長シナリオを示しました。 内容的には詰め切れておらず、粗削りな面も残りますが、当センターの経済予測を補完する意味で公表する次第です。研修制度ご紹介のページもぜひご覧下さい。 ■日経センターの研修制度ご紹介はこちら 2017年6月30日公表 2017年度研究生 【短期経済予測班】 <短期予測@:景気低迷班> 米国の政局混乱が招く世界不況―貿易停滞、日本はゼロ成長に― <短期予測A:好景気班> 米国発、世界経済の活性化―IT需要の高まりが後押し― 【中期経済予測班】 <中期予測@> 日本に必要な「2つのC」 <中期予測A> 技術革新がもたらす3つの解放
▼要旨▼ ・米国ではトランプ政権と議会の足並みの乱れを受けて税制改革・インフラ投資・規制緩和といった看板政策の実現見通しが立たず、米株価は反落、景気は後退局面に入る。 ・世界経済には貿易の停滞という形で波及し、日本も円高や外需減少により企業業績が悪化、消費も低迷する。 ・実質GDP成長率は17年度に+0.9%(SA170R比0.5%ポイント下振れ)、18年度にゼロ%(同0.9%ポイント下振れ)まで低下する。 要旨 スライド資料
▼要旨▼ ・米国ではトランプ政権の掲げる大型公共投資、法人税減税などに道筋が見え、企業収益と個人消費が拡大して新たな成長フェーズへ移行する。 ・中国も米経済の活性化による輸出増などで政府目標を上回る成長率を実現しよう。IT需要の高まりも世界経済を後押しし、日本は輸出主導の成長を遂げる。 ・実質GDP成長率は17年度1.5%(SA170R比+0.1%ポイント上振れ)、18年度2.0%(同+1.1%ポイント上振れ)と予測した。 要旨 スライド資料
▼要旨▼ ・人口減少時代を前提とした都市の姿へ転換した場合の経済効果を試算した。具体的には2つのC、すなわちCompact(人口密度の高い都市)とCocktail(多様性のある都市)が実現し、労働生産性と行政効率が上昇した場合の効果を試算した。 ・その結果、直近中期予測(標準シナリオ)から、2030年の潜在GDPを30〜80兆円押しあげ、政府支出を9〜21兆円削減できることがわかった。 ・2つのCを実現するためには、郊外居住税や市街地居住補助金といった政策も必要だろう。 要旨 スライド資料
▼要旨▼ ・日本における労働力人口減少の問題は2030年度までに技術革新によって解決される。 ・具体的には、AIやIoT、ロボットといった新たな技術によって、女性が家事・育児・介護を行う必要がなくなる「家庭からの解放」、健康寿命が延びる「老いからの解放」、単純労働が機械に置き換わることによる「雇用形態からの解放」という3つの解放が生じる。 ・その結果、労働力人口や雇用者報酬が増加し、消費や投資が押し上げられることで、2030年度までに実質GDP成長率が年平均1.3%となる。 要旨 スライド資料