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2014.09 産業ピックアップ

消費税に揺れる産業景気−海外要因で明暗も

 日本経済研究センターでは、委託研修制度の一環として産業調査班を設け、産業レベルからの景気判断や経済分析に取り組んでいます。いくつかの業種をピックアップ、景気の断面を探ります。

 目下の焦点は言うまでもなく消費税。増税後の反動減は小売では収束方向だが、新車販売は次第に厳しさを増している。建設は次の増税次第では来年度前半にかけて再び住宅の駆け込み需要が膨らむ可能性がある。

 もう1つ産業景気を左右しているのが海外要因だ。自動車は米国の景気回復を背に海外需要が伸びる。中国でのスマホ拡大は電子部品業界を潤している。小売業界は10月からの訪日外国人向け「免税拡大」で恩恵を受けそうだ。逆に、化学は海外勢のプラント増設で国内設備の余剰感が増している。通信は国内がほぼ飽和、海外開拓を狙っている。

 更新履歴 
・日銀短観ポイント説明会で産業ピックアップの分析を紹介しました(2014/10/02)
   当日の配布資料、日銀短観14年9月調査に関するレポートは
   こちら をご覧ください。

・以下のリポートを公表しました (2014/09/25)
   自動車:国内不振を海外で補う――新車効果で反動減収束も
   電機:業界内で分かれる明暗――海外、産業分野に活路
   化学:海外に押される石油化学――新材料で差別化目指す
   建設・不動産: 建設の収益、今後は厳しく――オフィス市況、依然最低圏 
   小売:反動減はほぼ収束、10月からの「免税拡大」に期待
   情報通信:通信大手、海外で攻勢――国内シェア競争一服も

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産業ピックアップ リポート


概要   産業調査班
自動車:国内不振を海外で補う――新車効果で反動減収束も江連謙太郎(足利銀行より派遣)
海外は米国景気回復を支えに堅調。内外を合わせた販売台数は前年水準を確保するメーカーが多くなりそうだ。国内では消費税引き上げの反動減が夏場に来て厳しくなったが、秋以降に登場する新車が期待通りの売れ行きを示せば販売が下げ止まる可能性もある。
電機:業界内で分かれる明暗――海外、産業分野に活路後藤広樹(秋田銀行より派遣)
電子部品は中国でのスマホ拡大を背に業績が改善。電力や鉄道など社会インフラや、工場の自動化システムなど産業用電機も海外需要を取り込んで好調だ。その一方、パソコンやテレビ、携帯など情報通信機器は需要一巡で低迷するなど、業界内で明暗が分かれている。国内需要が頭打ちとなるなか、各社は成長が見込める海外や、安定した収益を見込める産業向けに活路を見いだそうとしている。
化学:海外に押される石油化学――新材料で差別化目指す田原昌(東日本銀行より派遣)
エチレンなど基礎化学製品は中東などでの大型プラントの増設で世界的に需給が緩和、高値の石油を価格に転嫁できず苦しい状況が続く。米国でのシェール革命も国内生産には逆風だ。これに対し、電子材料などの機能性素材は独自色を出しやすい。各社は新材料への投資で差別化を図ろうとしている。
建設・不動産:建設の収益、今後は厳しく――オフィス市況、依然最低圏瀬戸佐智子(横浜銀行より派遣)
消費増税の反動減で住宅が落ち込み、公共投資も頭打ちで建設市場は足踏みとなりそうだ。その中で、人件費や資材価格の上昇から、改善してきた建設業の収益は今後厳しくなる。地価が都市部を中心に上昇に転じたが、オフィス賃料はまだ02年以降の最低水準圏で不動産市場に過熱感は乏しい。
小売:反動減はほぼ収束、10月からの「免税拡大」に期待石村誠一(東邦銀行より派遣)
消費増税の反動減はほぼ収束してきた。本格回復は雇用・賃金次第だが、もう1つの期待は訪日外国人の消費だ。10月からの免税拡大で、これまで外国人を取り込んできた百貨店や家電量販店だけでなく、恩恵は幅広い業態に広がりそうだ。
情報通信:通信大手、海外で攻勢――国内シェア競争一服も山岸和広(八十二銀行より派遣)
通信の国内市場は飽和状態になりつつある。06年度から13年度までの市場規模はほぼゼロ成長にとどまった。今夏より大手通信各社が導入した新料金プランは、シェアよりも利益に舵を切る意思表示とも読める。大手各社は、新たな事業領域として海外に注力し始めている。
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