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JCER Paper 73 2002.11

日本の医療は平等か




鈴木玲子・日本経済研究センター研究開発部主任研究員

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要 約

医療財政の逼迫はわが国だけでなく多くの先進国共通の悩みであり、80年代からさまざまな改善策が実施されている。わが国では保険料引き上げや、患者自己負担の引き上げなどが中心であったが、これらは不平等をもたらす懸念がある。わが国の医療制度は全ての国民に平等といわれてきたが、あいつぐ自己負担引き上げによって平等性が損なわれてはいまいか。
 そのような問題意識から、本稿では医療の平等性を考察する。手順は、まず医療の公平性に関する考え方を整理したのち、医療費の負担と給付の両面で先進各国はどれほどの平等を達成しているのかを概観する。ついで、わが国の医療の平等に関して既存の研究結果を紹介し、最後に独自のアンケート調査によって、給付面で不平等が発生していないかどうかを明らかにするために、低所得高齢者の通院行動に関する分析を行ったのでこの結果を報告する。
 主な結論は次のようなものである。@先進諸国の医療制度には平等と自由の2つの考え方があるが、スイスとアメリカを除く大半の国は平等主義色の色彩が濃く、わが国も平等主義寄りでフランスやドイツとともに公的医療保険中心のカテゴリーに分類される。A負担面で不平等(所得に占める医療費の割合が低所得層ほど高い、すなわち負担分布が逆進的)な国は予想外に多く、日本も例外ではない。B給付の分布は、外来医療が累進的、入院医療が逆進的な国が多い。Cわが国の高齢者の外来医療の給付において所得に関する不平等は発生していない。



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目 次

1.医療の公平性(2つの考え方)
2.負担は平等か?
3.給付は平等か?
4.わが国の医療給付と所得に関する先行研究
5.高齢者の外来医療需要
6.所得は医療需要に影響するか
7.まとめ
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