JCER Paper 77 2006.8広域化で巻き返し図る華南経済圏
要 旨
中国は1国のようでいて、実際には各地域の独立性が高い分権型社会。そんな中国で、地域経済の発展を図る枠組みとして「経済圏」の存在感が増している。
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北京など東北部の「環渤海」や、上海を核とした「揚子江」地域と並び、最近拡大志向を強めているのが、華南の「汎珠江」地域。同地域は、「改革開放」の先陣を切ってきたが、このところ上海の陰に隠れがち。世界貿易機関(WTO)加盟に伴うグローバル化の波をとらえ、再活性化を目論む。 広東省を中心に内陸までの9省に及ぶ広域性は、「雁行型発展」を果たすには格好の布陣。香港やマカオなど特別行政区を含む点も金融、物流などの面で他の経済圏にはない強みだ。半面、「雁行」は単なる内陸部の立ち後れで終わる恐れもある。広東と香港が相互の存在を認め合っていけるかどうかも、発展のカギとなる。 目 次1.1国1市場の幻想
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・各省が独自に権限を行使 ・点より面での発展目指す ・3大経済圏でGDPの4分の3に 2.なぜ「汎珠江」なのか ・従来の「経済圏」超える「9+2」 ・広域で発展目指す4つの理由 3.「経済圏」づくりの具体策は ・省ごとの障壁取り払い単一市場へ ・香港のインフラ・技術力生かす 4.汎珠江デルタの将来性 ・コスト増の洗礼いつから ・付加価値高める地道な努力欠かせず ・内陸部の成長モデルは手探り ・広東省主導には危うさも 5.終わりに |