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日本の金融、いま何が必要か

2010年度 金融研究班 中間報告
2010年10月発表


前田昌孝・日本経済研究センター主任研究員 、平田英明・日本経済研究センター副主任研究員/法政大学経営学部准教授

 米国の住宅バブルの崩壊に端を発した今回の金融危機は米大手投資銀行の破綻、南欧諸国の財政危機などを巻き込みながら、なお世界経済を揺さぶっている。日本では金融機能が麻痺する事態は避けられたが、世界経済の減速や円高が実体経済を圧迫し、金融面でも各種対応を迫られた。金融研究班は6つのテーマを設定してその現状と課題を分析し、日本経済再生に向けて金融が果たしうる役割を検討した。

 更新履歴 
  • 2010/10/29: 「2009年度銀行決算分析」を掲載
  • 2010/11/08: 「“バーゼルV”導入、国内銀行に課題多し」を掲載
  • 2010/11/17:「起業社会に向けての金融の課題―エンジェル税制の大幅改正を」を掲載 
  • 2010/12/03:「金融危機時の企業金融対策の検証−リーマン後の各種対策に一定の効果も、課題残す」を掲載
  • 2010/12/10:「社債市場活性化への5つの提言―個人に投資機会、市場規律ある銀行経営にも貢献」を掲載 
  • 2010/12/28:「低金利の住宅ローンに潜む金利上昇リスク―減税効果切れる返済11年目に家計負担急増の恐れ」を掲載 New


  • 2010/12/28:「低金利の住宅ローンに潜む金利上昇リスク―減税効果切れる返済11年目に家計負担急増の恐れ」New
    (要旨)
    ○「リーマン・ショック」をきっかけに急速に冷え込んだ住宅投資は、最近の金利低下・政府の購入支援策を追い風に持ち直しつつある。政府の購入支援策の中でも住宅ローン減税は、幅広い購入者層の負担軽減につながる。例えば、年収が700万円の世帯では10年間で最大300万円弱の減税が見込まれる。

    ○住宅ローンの利用者数を金利タイプ別に集計すると、変動型が5割近くを占める。「全期間固定」を含め長期固定型のシェアもやや高まっているが、それ以上に、金利水準が低くて当初の返済額が少ない変動型の人気が高い。本稿では先行きの金利上昇を仮定し、住宅ローン減税も加味した月次返済額を試算した。例えば、年収700万円世帯が3500万円を借り入れたケースを考える。ローン金利が段階的に上昇(当初は1.25%、1年後以降は2.5%、5年後以降は5%)した場合、当初の金利からの変動がない場合に比べて、返済総額が58%増えるとの結果を得た。特に上記の住宅ローン減税の適用期間から外れる11年目には、実質の月次返済額が10年目の月次返済額に比べて45.5%上昇する。その結果、住宅ローン返済後で評価した実質可処分所得は、最大46.6%目減りする可能性がある。

    ○変動型の住宅ローン金利は、金利上昇と共に返済額が膨らむ「諸刃の剣」であることを、住宅ローン借入者が認識すべきことは言うまでもない。一方、超低金利環境が定着していることを踏まえ、ローンを供与する金融機関も住宅ローンのデフォルト(債務不履行)を防ぐため、金利変動の影響を従来以上に詳細かつ丁寧に説明することが求められる。また変動金利の算出方法の明確化・金融機関同士の適用金利を比較しやすい仕組み作りなどを通じ、住宅ローン金利の透明性を高めることも住宅市場の健全性向上に資すると言えよう。

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