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JCER Review 58 2004.7

大規模病院比率が入院費に与える影響について




宮本拓也・2003-04年度委託研究生、四国電力株式会社

全文全文

要旨

 都道府県別1人当たり入院費は、1人当たり病床数等、医療供給側の要因との相関が強いことが知られているが、医療供給面には様々な規制が施されており、その体制は硬直的である。一般に病院規模が大きくなるほど、高度先進医療の集中、診療密度上昇による診療報酬の高騰や、効率性の高さゆえの患者の増加等により、医療費の上昇に繋がる可能性がある。また、すべての国民が医療機関を自由に選択できるというフリーアクセスが保障されすぎた結果、信頼性は高いものの高コストの大病院へ患者が集中する傾向があり、これも医療費の増加要因となる。病院規模の地域による偏りも大きく、規模の違いが1人当たり入院費に与える影響はないだろうか。
 本稿では、大規模病院への病床集中度の違いが都道府県別1人当たり入院費に与える影響を実証的に分析する。まず、病床規模と医療供給体制、1人当たり入院費との関係を整理し、次に大規模病院において運営される病床比率を説明変数として、1人当たり入院費に与える影響を回帰分析により分析した。その際、1人当たり入院費に影響を与えるとされる代表的な他の指標を用いてその他の影響を取り除いた。
 推計結果によると大規模病院病床比率と1人当たり入院費の間には統計的に有意な影響はみられない。その要因として、診療密度の上昇による医療費増加の影響を効率化による入院期間短縮効果が相殺していると考えられる。また、1人当たり入院費を分解して得られる1人当たり件数、1人当たり日数に対してはマイナスの影響が観察され、入院期間短縮に伴う空き病床の増加による需要創出効果も大きくないため、大規模病院の増加による医療費の増加懸念は小さいと解釈できる。

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目次

要旨
1.はじめに
2.入院費の地域差の要因
3.推計結果
4.おわりに
参考文献
補論
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