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JCER Review 62 2007.2

女性労働力率M字カーブの上昇要因
年齢階級で異なる労働選択の背景




大賀智子・2005-2006年度経済分析部委託研究生、日本経済新聞社

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要旨

日本は人口減少局面に突入した。少子高齢社会で労働力を確保するため、女性を労働市場で活用することが、今後ますます重要になる。
  女性は何をもとに働くことを選択するのか。「働きたい」という意欲を示す最もシンプルな指標は労働力率だ。企業側の需要を反映する雇用就業率などと異なり、純粋に労働供給側である人々の意思を表す。日本では20歳代から50歳代までの男性労働力率は90%を超えており、ほぼ限界に近い高水準にあるが、女性はそれほどでもない。子育て世代を中心に、まだ労働力率上昇の余地がありそうだ。
  女性労働力率を5歳階級別にみると、依然としてM字カーブの形を保っている。M字の左右の山は上昇傾向が続いているが、くぼんだ部分の動きは鈍い。それぞれの年齢階級で、女性を労働市場に向かわせる要因は同じなのだろうか。
  女性が働こうと思う背景には、結婚や育児の状況、また家計や景気動向といった、いくつもの要素が絡み合っていると考えられる。今回のレビューでは、時系列データを利用し、@非労働力化することで得られなくなる収入(機会費用)や女性を取り巻く労働環境要因、A結婚・出産・育児というライフスタイル要因、B家計要因、Cマクロの景気変動要因――の4側面から、ADL(Autoregressive Distributed Lag)モデルに基づいて労働選択の決定要因を分析した。
  その結果、M字カーブの左側の山である30歳代前半までは@、Aの要因が、右側の山である40歳台以降はB、Cの要因が、女性の選択の背景となっていることがわかった。女性の労働選択は、M字カーブのくぼみを境に、明らかに原因が変質している。
  人口減少局面を迎え、現在、労働政策審議会などで、雇用市場改革に向けた検討が進んでいる。女性のさらなる活用を考える際、それぞれの年齢階級がどんな要因をもとに働くことを選ぶのか分析した上で、多様なニーズに的確に対応した政策を検討することが重要になるだろう。

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目次

要旨
1. はじめに
2. 女性労働力率と雇用機会均等法
3. 労働力率決定の構造要因と循環要因
4. 推計手法と説明変数
5. 推計結果〜M字カーブの左右で異なる決定要因
6. 労働市場改革と女性の労働選択要因
7. おわりに〜今後の課題
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