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JCER Review 65 2008.5

新興国の輸出拡大要因
―CMS分析と輸出競争力の決定因




黒沼勇史・2007−08年度研究統括部研究生、日本経済新聞社

本文本文

世界貿易における新興国のプレゼンスが高まっているが、そうした国の輸出拡大はどのような要因に支えられているのだろうか。世界貿易の現状を把握するうえでも先行きを展望するうえでも、新興国の輸出拡大要因の分析は避けて通れないテーマである。
 こうした問題意識を基に、本稿ではまず、ある国の輸出拡大をもたらした要因を世界需要、商品構成、市場構成および競争力の4要因に分解するコンスタント・マーケット・シェア(CMS)分析を用いて、BRICs、NIEs、ASEAN4の輸出拡大を分析した。その結果、2000年以降の輸出拡大は中国で71%、インドで51%、ロシアで27%、ブラジルで50%が競争力要因で説明され、その他の国・地域に比べ世界貿易全体の浮き沈みとかかわりなく輸出が増える部分が大きいことが分かった。
 次にこの輸出競争力がどのような経済状況から生み出されるのかについて考察した。具体的にはCMS分析で得られる競争力要因を被説明変数、実質実効為替レートと労働生産性を説明変数として最小二乗法で推計した。その結果、実質実効為替レートはBRICsとNIEsに対して説明力が高いことが分かった。ただBRICsでは2000年以降に為替要因が有意だったのに対し、NIEsでは1990年代よりも説明力が低下している様子が伺えた。またBRICsでは特に工業製品輸出に対する影響度が高いことも観察された。
 一般的に輸出競争力の向上・低下に寄与すると考えられている実質実効為替レートだが、CMS分析における競争力に対しては必ずしも説明力が高くない。ただその中でもBRICsに対しては高い有意性が確認された。現在進行する国内物価の上昇や名目為替レートの増価は、NIEsやASEAN4よりも特にBRICsにおいて、今後、輸出競争力の低下要因になる可能性が高いと推察される。

キーワード:コンスタント・マーケット・シェア(CMS)、輸出競争力、BRICs

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目次

<要旨>
はじめに
1.コンスタント・マーケット・シェア(CMS)分析の方法論と先行研究
2.CMS分析の結果
3.輸出競争力の決定因
4.結論
<参考文献>
補論
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