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金融研究

異次元緩和の長期化と地域金融機関の経営安定性
―人口減少で再編が加速、長寿化は金融政策運営を困難にするおそれ

2018年度金融研究班報告③:長引くQQEの副作用

主査:左三川(笛田) 郁子
  金融研究室長兼主任研究員
総括:高野 哲彰
  副主任研究員
委託研修生:粕川詩織、加藤昇平、星田佳祐、山口達也
   

2019/03/15

2013年4月に始まった日本銀行の異次元緩和はまもなく7年目を迎える。未だ金融正常化が見通せないどころか、世界経済の不確実性の高まりによって、次の追加緩和策の議論が始まっている。緩和長期化の副作用として懸念されるのが金融機関の収益に及ぼす影響である。地域金融機関では再編の動きが進んでおり、同じ営業地盤での合併は経費削減に大きく寄与してきた。今後、地銀の合併はシステム統合のコストが課題となるとみられ、クラウドなどの新技術の活用が期待される。「人生100年時代」で若年層は老後に備えて貯蓄性向を高めている。貯蓄の増加により、資金需給を均衡させる自然利子率が押し下げられると、金融政策の舵取りは一層難しくなるおそれがある。