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金融研究

2018年度金融研究報告 異次元緩和と地域金融

 

2019/03/25

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日本銀行の金融政策運営は、大規模緩和の継続に伴う副作用の面が注目されるようになっている。金融研究班では2018年夏に上梓した『金融正常化へのジレンマ』(日本経済新聞出版社)で、日銀が今後、金融正常化に向かう過程で直面すると考えられる複数の問題(ジレンマ)について論じた。ところが、ここにきて米中貿易戦争や中国経済の減速などを受けて、世界経済にダウンサイド・リスクが高まっている。これまで政策金利の引き上げとバランスシートの縮小を進めてきた米連邦準備理事会(FRB)も、昨年末で量的緩和政策を終了した欧州中央銀行(ECB)も、年内は利上げを見送る決定をした。不確実性が増大する中で、日本の景気が減速すると、日銀の「次の一手」に対する人々の関心が高まってくる。
しかし、大規模な金融緩和による超低金利環境が長期化する中で、日銀にさらなる緩和の余地はあるのか。18年度の金融研究班では、金融機関の収益悪化など緩和の長期化で増大する副作用に着目した。13年4月の量的・質的金融緩和(QQE)政策の開始以降、貸し出しや有価証券運用を長期化させてきた地方銀行や第二地方銀行を含む国内基準行で19年3月期決算から、銀行勘定の金利リスク(IRRBB: Interest Rate Risk in the Banking Book)の公表が始まる。日銀が7年前にQQEの波及経路のひとつとして示した、(安全資産からリスク性資産への投資を促す)ポートフォリオ・リバランスの効果が、金融機関の金利リスク量の増大として表面化する。合併や経営統合など再編を進める地域金融機関では経費の削減効果も期待されるが、大規模緩和の長期化で預貸利ざやはさらに縮小し、リスクテイクにつながりやすくなる。金利リスクを増大させる過程で景気が減速し、信用リスクが顕在化してくれば、金融仲介機能に影響が及びかねない。このとき日銀は、景気を刺激する方向での金融政策運営と、金融システムの安定を維持する方向でのマクロ・プルーデンス政策運営との間で新たなジレンマを抱えることになる。

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