かつては韓国、シンガポール、香港と並び「アジアの四小龍」と呼ばれた台湾が経済不振に苦しんでいる。蔡英文総統は経済の建て直しを急ぐ姿勢を全面に打ち出し、自立可能な産業構造の構築とともに、日本などとの連携に期待をかける。
現地での有識者や日系企業などのインタビューをもとに、台湾の新政権が抱える課題を探るとともに、経済復活を目指す台湾と日本の企業連携の重要性を検証する4回シリーズの第2回報告です。
【第2回のポイント】
- 台湾にとって日本は貿易相手国としては世界で3番目、投資の受け入れは第2位と、経済面で緊密な関係にある。日本からの投資は近年、案件数は高い水準を維持しているが金額ベースでは伸び悩んでいる。これは、新規案件の多くが非製造業となっているためで、中でも日本からの卸・小売業や飲食業の新規出店が目立つ。
- 台湾に進出する製造業は台湾内部や中国市場を狙うだけでなく、最近では台湾の拠点から東南アジア諸国連合(ASEAN)をにらむ企業が増えている。日台企業連合によるASEANなど第3国市場の開拓のパターンは①日本企業がサプライヤーとして現地に進出している台湾企業と取引する②日本企業と台湾企業が合弁で事業を展開する③日本企業の製品を台湾企業が自社のルートを使って販売する④日本企業と台湾企業が情報収集、資金調達などの分野で協力する――などに分類できる。
- 電子部品大手のTDKは台湾の現地法人で独自の製品を開発したり、研究開発体制を整備したりして、自立した経営を現地で定着させた。戦略的な台湾ビジネスは企業のグローバルビジネスに新たな可能性をもたらすこととなろう。
◆関連レポート◆
シリーズ企画「昇龍は復活するか」~蔡・台湾政権の課題と日本の役割
・【第1回】不振続く経済~脱却の道は「イノベーション」にあり
・【第3回】インタビュー「台湾企業は日本との連携に期待」~中華経済研究院第三研究所 魏聰哲・博士
・【第4回】インタビュー「優秀な人材をアジアに投入すべき」~潘進丁 全家便利商店グループ会長
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