中国経済の最大の課題となっている過剰債務問題を巡って、中央政府が対策に乗り出した。国家発展改革委員会など国務院の関係部門は10月10日、企業債務圧縮のガイドラインを発表。債務の株式化や企業の統合・再編、破産を加速させ、経済を活性化させる構えだ。ただ、政権内部では債務問題を巡って「株式化は問題の先送りに過ぎない」と批判的な声もある。政府は将来性のない「ゾンビ企業」は厳格に除外するなど、債務の株式化の対象を規範化して無責任な債務逃れは許さない考え。ただ、膨大な債務がどこに向かうのか、過剰債務と表裏一体である国有企業改革は進展するのかなど、課題はなお山積みの状態だ。
【ポイント】
- 中国政府は10月10日、懸案である企業債務の圧縮について、ガイドラインを発表した。債務の株式化や企業の統合・再編、破産を加速させ、経済を活性化させる狙いだ。
- 政権内部では、債務の株式化を疑問視する勢力もある。急場しのぎにしかならず、問題の先送りとの考えからだ。政府はそうした批判を意識して、ゾンビ企業は厳格に債務の株式化の対象から除外するなど、ガイドラインで厳しい姿勢を示している。
- しかし、企業を活性化するには債務の縮小だけでなく、将来の成長戦略を明確にするなど、競争力強化の方策が必要。債務の多くを抱える国有企業はまずは企業改革に着手することが急務であり、今回のガイドラインの効果は未知数と言わざるを得ない。
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